政治・経済

 〝サイエンスカンパニー〟。一般工業材料からエレクトロニクス、建築・土木資材、自動車関連資材、食品、薬品、農業資材、太陽電池やバイオ燃料など、ありとあらゆる分野の産業に素材・資材を提供しているデュポンが掲げるキャッチフレーズだ。米国を本拠としてグローバル展開しながら世界中で380億ドルもの売り上げを誇るデュポン。創業から210年がたち、日本に進出して50年以上になる名門企業の次なる戦略とは。

【たなか・よしゆき】 1958年福岡県生まれ。82年東京大学大学院理学系研究科化学専攻修士課程修了。同年、デュポンファーイースト日本支社(現デュポン)入社。2001年取締役。06年デュポン アジア パシフィック リミテッド/グローバル ビジネス ディレクター。13年1月から現職。

【たなか・よしゆき】
1958年福岡県生まれ。82年東京大学大学院理学系研究科化学専攻修士課程修了。同年、デュポンファーイースト日本支社(現デュポン)入社。2001年取締役。06年デュポン アジア パシフィック リミテッド/グローバル ビジネス ディレクター。13年1月から現職。

ケミカルからバイオ、そしてサイエンスの会社へ

―― デュポンと言えばケミカルの印象が強いのですが、現在はどうですか。

田中 当社は長らくケミカルカンパニーを標榜してきました。1802年に米国で創業した当初は黒色火薬の製造会社として急成長しました。それで100年がたち、次の100年間は黒色火薬だけではなく、大きく手を広げたのですが、その軸が化学だったのです。合成繊維やエレクトロニクス用の素材、食品や薬品関連など、20世紀のデュポンはまさにケミカルカンパニーだったと言えます。しかし創業以来200年になろうかという時、次の100年、21世紀も同じで良いかというとそうではないという考えに至りました。さらに事業を広げていこうとした時、ケミカルを超えた生物学・バイオテクノロジーをベースとした分野に着目。そのために企業買収もし、自社でも新事業を展開しています。現状ではケミカルカンパニーではなく世界で最もダイナミックなサイエンスカンパニーだと思っています。

―― 企業の成長過程では買収や共同事業も必要ですね。

田中 デュポンは、国際化が進んだ今日、世界的な課題に対応するには、ひとつの国、ひとつの組織など単一組織では有効なソリューションを生み出すことはできないという考え方をしています。そこで生まれたのが「コラボラトリー」という精神です。これはコラボレーションとラボラトリーを組み合わせた言葉なのですが、日本語では〝共創〟と訳しています。文字通り、パートナーと共に創り出すということです。

 共創の一例として、今年2月に発表したJAさんとの新型農薬の開発があります。これは米作の害虫であるウンカに対応する農薬です。現在のウンカは既存の農薬に耐性ができてしまっているので、新しいアプローチの農薬を開発しようというプロジェクトです。ニーズの把握、販路の確保という点ではJAさんが、技術はデュポンが担う形の共創です。両者の特徴や強みを生かしながら一緒に取り組めば、より早く、大きな成果が望めます。

―― 現状の事業ポートフォリオと主力分野は。

田中 大きく3つに分類できます。まず、もともとやってきたケミカルの分野。次にバイオテクノロジーを生かした分野。これは、生物にかかわるような植物の種子、農薬、大豆から作るたんぱく質などが主力です。この2つの中間に位置するのがバイオ燃料、バイオエタノールなどの工業用バイオの分野です。

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