政治・経済

 デジタル機器の製造・販売を手掛けるロジクール。同社は、マウスをはじめパソコン(PC)周辺機器の売り上げで世界トップクラスのシェアを誇るスイス・ロジテック社の日本法人だ。PC市場縮小が進む中、ロジクールの次の一手とは。

竹田芳浩(ロジクール社長)

竹田芳浩(ロジクール社長)

竹田芳浩氏は語る 店舗・法人チャネルの深耕を進める

―― 今期の業績について教えてください。

竹田 親会社のロジテックはスイス証券取引所と米NASDAQに上場していますが、当社は未上場のため業績については開示していません。ただ、ほとんどの製品カテゴリーにおいて、業績が右肩上がりで推移しています。

 例えば、当社がここ数年ずっとシェアを伸ばし続けているカテゴリーの1つに、PCとの接続に赤外線や電波を活用するワイヤレスマウスやワイヤレスキーボードがあります。伸長している理由は、チャネル戦略の強化ですね。

 当社はかつて、販売店と一緒になって消費者の購買を促すための売り場作りへの取り組みにやや欠けている傾向がありました。私が2010年に社長に就任してからは、販売店の本部・各店舗双方とコミュニケーションを密に行ってきており、その成果が徐々に現れ始めてきたと感じています。

―― チャネル戦略のより具体的な内容は。

竹田 私は当社に入社する前、日本ヒューレット・パッカードのウェブソリューションに関する統括本部の責任者を務めていました。当時お世話になったディストリビューター(販売代理店)との関係構築を進めています。

 一般的に外資系企業は、人件費を抑えるために店舗向けの営業にアルバイトを使うケースが目立ちます。しかし、当社では社員を起用することで、販売店にメリットを感じてもらえるような質の高い営業を目指しています。やはり社員が営業したほうが、顧客に対する気持ちの入り方が全く違うと思うのです。ひょっこり出向いただけで当社の製品を売り場の目立つ場所に置いてもらえるわけではありません。

―― そのほか、どういったチャネルを強化していきたいですか。

竹田 日本法人設立当初は、さまざまなPCメーカーへのOEM供給を行い、続いてコンシューマー向けを拡大させていきました。今後は企業に当社ブランドを活用していただけるように販売体制を強化させる考えです。システムインテグレーター(企業向けに情報システムの企画、構築、運用を手掛ける事業者)をはじめとする法人と、どれだけ強くタイアップしていけるか。これが重要な課題の1つです。

竹田芳浩氏の戦略 成長持続のため3つのカテゴリーを強化

―― PC市場が縮小基調に移る中、今後の製品戦略についても教えてください。

竹田 これまでと同じ製品展開では今後の成長はないと強い危機感を抱いています。当社では、従来のマウスやキーボード、ウェブカメラなどに加え、3つのカテゴリーの強化を行っています。

 まずは、タブレット端末向けのキーボードです。2つ目はイヤホンやヘッドホン、ワイヤレススピーカーなどの音響製品。音楽リスナー向けに「UE」というブランドを展開しています。

 最後が、ゲーム関連機器で、国内シェアはマウスが約6割、キーボードは約2割です。今後の市場の伸びが期待できることもあり、今後1年程度でそれぞれの業績を3~5倍にまで高めたいと考えています。

―― 製品を展開する上で、親会社がスイス企業であるという点は強みとして機能していますか。

竹田 高級時計や精密機器に代表されるように、モノづくりへの意識が非常に高いため、企業イメージに大変寄与しています。ロジテックは、スイスに製品の研究開発を行うラボセンターを持ち、中国に自社工場を保有しているのですが、同業で工場を持っている企業はほとんどありません。

 当社はマウスやキーボードなど製品の多くで保証期間を3年間に設定しており、万が一故障した場合は新品と交換します。同業他社の保証期間は一般的に1年ぐらいでしょう。それだけ自信を持って製品を提供している表われです。

 例えばゲーマー向けブランド「ロジクールG」では、指を置く部位によって素材を変え、特殊加工を施しています。高い操作性と、長時間ゲームをしても疲れにくいように細かく配慮をしているのです。品質の高さによって、25年間培った製品認知度は今後ますます高まっていくと思います。

―― 御社は今年3月に日本法人設立25周年を迎えましたが。

竹田 この25年間、歴代の日本法人トップの下で非常にいいものを作り、提供し続けてきたと自負しております。

 その半面、いいものを販売していたことに甘んじていた部分がなかったかと反省する部分があります。それが先ほどお話ししたチャネル戦略の強化につながるのですが。

 また、私が社長に就任した当時、当社は香港拠点の下で事業を進めていたのですが、組織運営上の問題が見受けられました。例えば当社を管轄する香港拠点のトップはシンガポールに居住し、物流関連の責任者が台湾にいるなど、日本の事情に即した対応が取れていたとは言いづらい状況だったのです。

 一方、日本法人のマーケティング社員が韓国を担当しているなど、〝混線状態〟にありました。それを本社と掛け合って、日本のことは日本でやるという体制に改めたのです。

 この3年間で、組織体制の見直しやチャネルの拡大・深耕、市場の変化に対応した製品展開を行ってきました。着実に成果が出てきているという実感があります。規模の拡大を目指すにあたって、営業人員の増強も検討課題ですが、まずは利益体質になるべくしっかり強化したいと考えています。

(聞き手/本誌・鈴木健広)

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