政治・経済

髙橋信一郎(秩父商工会議所会頭・西武鉄道を応援する会会長)

髙橋信一郎(秩父商工会議所会頭・西武鉄道を応援する会会長)

「西武鉄道を応援する会」を結成しサーベラスに対抗

 沿線住民の生活は西武鉄道が池袋に直通していることが大前提です。今回のサーベラスからの西武ホールディングスへの提案は、これが根底から崩されることになり、地域の生活基盤の存亡にかかわることなので、路線存続のための手を打たなくてはいけないと思っています。

 サーベラス側は路線の廃止を要求していないという報道もありますが、47項目という数字まで挙がっていることから、要求はあったものと理解しています。また、秩父の途中の飯能市においては国際興業がサーベラスの傘下に入り、飯能市からのバス路線の廃止が取沙汰されたという前例があります。

 これらを含めて考えると、西武鉄道5路線の廃止はあり得ないことではないと考えています。路線廃止は非常に困ることなので、地域として一番の先頭に立って反対の旗を振っていく考えです。

 当初はサーベラスのTOBを達成させないため、株の売り手と買い手を仲介することを目指し、「西武鉄道の安定株主をつくる会」を作ろうとしました。しかし金融商品取引法の規制で、われわれが株の売買に直接かかわることはできません。

 そこでわれわれにでき得ることは、世論を喚起して存続のための旗を振ることであると考え、4月19日に「西武鉄道を応援する会」を立ち上げました。法人株主は西武側についているようですので、約1万4千~1万5千人の個人株主に対して、マスコミなどをとおしてわれわれの意気込みを周知徹底していきたいと考えています。

西武鉄道が存続しやすい環境づくりに取り組む

 西武線沿線の商工会議所、あるいは東京都は豊島区などにも声を掛けて参加者を募っています。主要な団体にも会員として加入していただく考えです。

 商工会議所の埼玉県連の合意は取っており、県連と埼玉県の商工会連合会も同調してくれています。上田清司・埼玉県知事も非常に危機感を募らせていて、本会の顧問に筆頭で就任してくれていますし、非常に好意的にバックアップをしてくれています。とにかく組織を大きくして強い影響力を持つことを目的にやっています。

西武秩父線を走る特急レッドアロー

西武秩父線を走る特急レッドアロー

 実際にわれわれが旗を振り上げてから、サーベラス以外に売ってもよいという問い合わせが来ています。われわれにはそういった株主に対して証券会社を紹介することしかできませんが、今後とも法規制の許される範囲内で存続に向けた支援をやっていきたいです。

 また、今回のTOBに限らず、西武鉄道が存続しやすい環境をわれわれ自身がつくらなければいけないと考えています。

 サーベラスの俎上に上るような営業成績では困るので、西武鉄道の利用促進のアピールもしていきます。お陰さまで西武側でも「小田急の箱根」と同じように、「西武鉄道の秩父」という形で宣伝していただいています。

 3月に東急東横線との相互直通乗り入れが始まって以降、西武秩父駅の乗降者数が7%増えました。われわれも西武側の取り組みに応えて、もっと多くの観光客を呼び込めるように最大限の利用促進を含め、路線存続の運動を続けていきたいと思っています。

 西武鉄道がなくなっては困るという想いは地域住民全員が持っています。 (談)

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

【特集】2019年注目企業30

 2018年の日本経済は、世界のマーケットを席巻してきた中国経済の成長鈍化が鮮明になり、併せて米・中の経済摩擦、英国のEU離脱問題などの対外的な課題が重なって大きな閉そく感が漂う年だった。 しかしながら元気な中堅・中小企業はネガティブな要因をものともせず独自の経営手法で活路を開いている。 原点回帰で、顧客第一…

「超サポ愉快カンパニー」としてワクワクするビジネスサイクルを回す―アシスト

ITと建設機械、グリーンエネルギーの3本柱で地球環境問題解決に貢献する―Abalance

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年4月号
[特集]
日本の「食」最前線

  • ・総論 日本の「食」から世界の「食」へ 成長産業となった農水・食品産業
  • ・「食」の輸出1兆円を支えるジェトロの役割
  • ・全国で進むブランド化「食」から始まる地方創生
  • ・上海で見た日本の「食」の未来
  • ・海外進出した外食チェーン「成功」と「失敗」の分かれ目
  • ・日本人が知らない中国の「日本食ブーム」の真実
  • ・消費税引き上げで始まる「外食VS中食」最終戦争

[Special Interview]

 星野晃司(小田急電鉄社長)

 「未来を見据えた挑戦で日本一暮らしやすい沿線をつくる」

[NEWS REPORT]

◆中国リスクが顕在化 電機業界に再び漂い始めた暗雲

◆持続可能な水産業へ 魚はいつまで食べられるのか

◆CES 2019現地レポート 家電からテクノロジーへの主役交代が鮮明に

◆相次ぐトラブルで業績悪化 SUBARUの見えない明日

[総力特集]

 2019年注目企業30

ページ上部へ戻る