政治・経済

 家電量販店最大手のヤマダ電機。同社の成長の歴史はM&Aの歴史でもある。最近でもハウスメーカーのエス・バイ・エルの子会社化で住宅事業に進出。また、同業のベスト電器の子会社化で、さらなる業容拡大に取り組んでいる。同社のM&Aについて、山田昇会長兼CEOに話を聞いた。

 

山田昇(ヤマダ電機会長兼CEO)

山田昇(ヤマダ電機会長兼CEO)

ナショナルチェーン店として規模の利益を追求するヤマダ電気

 

―― 貴社のM&Aの方針、基本的な考え方は。

山田 われわれは電気専門店として、その事業領域の範囲内で、事業の幅と奥行を追求し発展させていくという考えを持っています。特に家電業界は2年続いて縮小しています。このままでは、これが業界のトレンドになるという危機感があり、M&Aを進めています。

 当社は、電気専門店のナショナルチェーン展開を目指しています。そのために規模の利益を追いかけており、その目的に合った業種でM&Aを行うという考え方です。

―― 貴社のM&Aは、さまざまな業種と組んでいます。

山田 同業者とのM&Aであれば、ナショナルチェーン店の展開として、量的な拡大にこだわり、シェアを高めていきます。

 一方、ハウス事業は、専門の事業領域の範囲内でいかに市場を創造していくかという考え方です。1軒の新築の建物の中には多くの電気関連の商品があります。それを建物の設計の段階からはめ込んでいきます。そもそもわれわれの扱う電気製品は快適な生活空間を提案する商品です。それを建物とマッチした形で提案していきます。

―― ダイクマのような小売業と組む例については。

山田 ダイクマの場合は、神奈川でディスカウントショップを運営していました。その規模や立地は、電気店と全く同じコンセプトで、商品に一部、雑貨が入るという違いでした。このため、非常に親和性が高かった。ですから、雑貨も取り扱うことによって、店舗の大型化が可能になりました。今、都市型店舗はカメラ系さんと当社が展開していますが、品揃えの幅という面では当社が先駆けです。

―― 買収した会社のハンドリングは。

山田 まず、基本的なことを合意した上でスタートします。お互いが合意した上でスタートすれば、経営の細部は合意する時に決まっていますから、後はそれを実行するだけです。その際に当社のスタンスとして、提携先の自主自立を促します。当社が人を送り込むようなことはしません。自主自立が基本で、あとは結果をわれわれが評価するというやり方です。

―― ではノルマを厳しく課すことはないのですか。

山田 それはないです。計画を出してもらって、そこでわれわれも調整させていただいて、それで取り掛かりましょうというやり方です。数値目標についても、お互いに確認した中でやりますから、その目標に皆が責任を持ちます。だから当社のM&Aはほとんど成功していますし、再生支援になっています。

 提携先には自主自立が基本で、責任を負ってもらうことから、経営もほとんど以前の経営者がやっています。成果を出したら、また引き続きやってもらいます。資本関係のバランス上、役員名簿には当社の人間が非常勤という形で名前を連ねていますが、実態として自主自立での経営を行ってもらいます。

 

いかにヤマダ電機の経営資源を利用するか

 

―― ベスト電器とエス・バイ・エルについての考えは。

山田 基本的にはみな同じですが、当社の経営資源を利用したコラボレーションに取り組みます。ヒト、モノ、カネ、システムという経営資源のコラボをいかに発揮できるかを重視します。ヤマダと組むことによって、いかに企業価値を上げるかという視点でやっています。提携相手の企業は、今までの自分達の持っている経営資源だけでは改革できません。いかにヤマダを利用するかだと思いますし、これが再生支援になります。

―― 逆に貴社がベスト電器のリソースを活用することは。

山田 それはありますね。まさに海外展開がそうです。海外のリソースを当社は持っていないが、彼らは持っている。当社と一緒になってやれば、さらに拡大すると思います。一方、ベスト電器には都市型店舗のノウハウはないです。だから当社が提供して、都市型の店づくりをすることはありえます。

 現在、当社は中国にだけ出店していますが、今後はアジア全体のバランスを見ながら海外事業を展開できます。

―― 住宅関連事業の展望は。

山田 住宅業界のマーケットは、ハウスメーカーが2割、あとの8割は地方のビルダーです。われわれは地域密着のビジネス展開で、地方のビルダーも狙えますし、もちろんハウスメーカー相手のビジネスもできます。当社はこの2つのチャンネルに対応できる強みがあります。

―― エス・バイ・エルの太陽光発電の手応えは。

山田 東日本大震災以降、エネルギー問題は国家的な問題です。その解決策の1つがスマートハウス化です。太陽光発電パネルだけではなく、蓄電池からLEDによる省エネ化、家電商品の省エネ化、HEMSまで含めて、スマートハウスとして提案します。当社が専門店として提案を始めてから世の中の流れが変わってきました。

 エス・バイ・エルはこれまで注文住宅をやっていましたが太陽光発電の搭載率はほぼゼロでした。それを当社が手掛けることによって搭載率が6~7割になっています。分譲住宅については、搭載率は100%です。こういうビジネスは今までありませんでした。1つの新しい市場ができつつあります。

―― スマートハウス関連事業の目標は。

山田 ヤマダとエス・バイ・エルとハウステックのコラボで3年後に5千億円を狙おうと言っています。今はそのインフラを作っているところです。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。100年弱の歴史を持つ高砂香料工業── まず御社の特徴をお聞かせください。桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える香料の専門メーカーです。基本…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

コエンザイムQ10のCMで知名度向上、売上高1兆円を目指すカネカ--カネカ社長 角倉 護

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年9月号
[特集]
65歳からのハローワーク

  • ・総論 働く上で「年齢」は意味を持たなくなる
  • ・50歳からの15年間の準備が豊かなセカンドライフを保証する
  • ・エグゼクティブのセカンドキャリア最前線
  • ・企業のシニア活用(富士通、ネスレ日本、鹿島)
  • ・副業のすすめ 現役時代の副業は定年以降のパスポート
  • ・島耕作に見るシニアの今後の生き方 弘兼憲史

[Special Interview]

 赤坂祐二(日本航空社長)

 「中長距離LCC事業には挑戦する価値がある」

[NEWS REPORT]

◆社員の3分の1を異動したWOWOWの危機感

◆迷走か、それとも覚醒か B2Cの奇策に出るJDI

◆外国人労働者受け入れ解禁で どうなる日本の労働市場

[特集2]

 開幕まで1年!

 ラグビーワールドカップ2019

ページ上部へ戻る