マネジメント

景況感が上向いたことに伴い、企業による「人材争奪戦」が激化している。企業は、新たな従業員を確保するために処遇を上げるといった対策を施すだけでなく、今いる人材を確保・定着させるための組織改革を迫られている。経営にダメージを与える人手不足を回避し、戦力を維持、向上させるために、各社はどのような施策を取っているのか。

倒産につながる例も増加

20140805_Tokushu_1_y アベノミクス効果などによって景況感は上向きとなった。これにより需要が伸び、企業で人材確保の必要性が高まっている。厚生労働省が今年6月に発表した5月の有効求人倍率は1・09倍と、バブル期の1992年6月に記録した1・10倍以来の高水準となった。また同日に総務省が発表した完全失業率は3・5%に改善した。リーマンショック後には一時5・7%にまで失業率が上がっていたことから見れば、その変化は一目瞭然だろう。

 今、あらゆる業界で「仕事はあれども人手が足りない」という状況が深刻化している。人手不足により受注機会を逃すケースが増えれば、企業経営に大きなダメージを与えるのは必至だ。東京商工リサーチによれば、従業員不足など求人難を理由に倒産する企業が今年上半期で10件(前年同期は2件)に上り、6月だけで5件発生している。また、人件費高騰が影響した倒産件数は今年上半期の累計で10件(前年同期4件)あったという。

 帝国データバンクが2013年末から14年始にかけて調査した結果では、正社員の不足を感じている企業は1万166社のうち36・8%に上る。業種別でみれば、建設、人材派遣・紹介などの企業の6割近くが、不足感があると答えている。一方で、非正社員の不足を感じている企業は全8251社の24・2%で、飲食店の53・2%を筆頭に、人材派遣・紹介、旅館・ホテルなどの多くも人材不足と回答した。

 人材確保、定着に向け、従業員にやりがいのある仕事を任せるほか、人事考課の適正性を向上させる対策を挙げる企業も多いが、効果がある企業と失敗に終わる企業がある。その差はどこにあるのか。雇用の専門家や企業経営のトップ、雇用現場の担当者から、人材争奪戦の現状や確保に向けた秘策を聞いた。

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