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 低成長の中で業績が拡大した理由

 ごく簡単に言うと、企業の利益が倍以上になったので株価もそれにつれて倍以上になったということだ。これだけ見ると、極めて健全な株価上昇のようだが、問題がいくつかある。

 ひとつは長期金利が上昇していないことである。09年3月末から直近までS&P500の株価と企業業績は倍以上に拡大したが、米国10年債利回りは09年3月末が2・66%。直近はその水準を下回っている。その意味では株価上昇が企業業績に沿ったものであるのは間違いないとしても、金融緩和に支えられた過剰流動性相場であったという一面も否めない。

 企業業績は伸びているのに金利は上がらない。このミクロとマクロの乖離をどう解釈するべきか。いろいろ他の要因はあるにせよ、長期金利が上昇しない第1の理由として米国景気が強くなく、ずっと低成長の経済が続いてきたということだ。そして、長期金利は将来に対する予想が織り込まれて動くものだから、現在も金利が低いままなのは、この先しばらくは成長率が高まってこないと市場が見ていることになる。業績を上げるためにはリストラなどコストカットを進めてきたのである。

 もうひとつはカネ余りを背景にした自社株買いである。発行済み株数を減らすことで1株当たりの利益を高めることができる。コストカットであれ自社株買いであれ、企業が1株当たりの利益を大きく増やしたのは事実だ。問題はこれから先である。これまでは確かに米国金利は上昇しなかった。だが雇用統計をはじめとする米国の経済指標はいずれも米国景気の回復を示唆するものばかりである。FRBも資産買い入れ額をFOMCを開催するごとに縮小させており、このままのペースでいけば秋にもQE(量的金融緩和)は終了する見通しである。

 時間の経過とともに来年の半ばと見られるゼロ金利政策解除をめぐる思惑が高まり、長期金利に上昇圧力がかかるだろう。そうなった場合、米国株のバリュエーションは良くて頭打ち、理屈から言えば低下することになる。仮に企業が業績を伸ばし続けることができたとしても、今度はこれまでと逆に、利益の増分ほど株価が上昇しないというシナリオは十分考えられるだろう。

 

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