政治・経済

 経済産業省本省で初の女性局長が誕生した。安倍晋三政権は7月4日、宗像直子・前官房審議官を貿易経済協力局長に昇格させる人事を決定。「女性の活躍推進」を掲げる政権の姿勢をあらためて示した。だが、TPP交渉で最難関の関税協議の一翼を担ってきた宗像氏が担当から外れることで、日本の交渉力低下も懸念される。

 「TPP交渉でも大変な努力をされてきた方で、能力も語学力も経産省きっての女性キャリア」。甘利明TPP担当相は同日の閣議後会見で、宗像氏にお墨付きを与えた。

 宗像氏は東大法を卒業し、1984年に入省。90年にはハーバード大大学院で経営学修士(MBA)もとり、省内では主に通商政策畑を歩んできた。

 甘利氏や茂木敏充経産相ら歴代閣僚は、米国仕込みの英語力や交渉力を高く評価し、局長への就任も「能力を考えれば順当」(通政局幹部)という見方が大勢だ。一方で、歯に衣を着せぬ物言いで、政治家も論破することから「敵が多いのも事実」(同)。

 実際、TPP交渉では関税協議で工業品分野の交渉官を担当してきたにもかかわらず、自民党の部会には説明者としてほぼ呼ばれてこなかった。農林族を中心に、宗像氏を「交渉から外せ」と言う声もあったという。

 ただ、TPP交渉が佳境を迎える中、宗像氏の突破力を失うことは日本の国益に影を落とす恐れがある。交渉官としての後任は広瀬直・通商機構部長が務めるが、ぎりぎりの交渉に途中登板することを不安視する向きが強い。

 甘利氏は、「(宗像)局長が直接、TPP交渉に当たるとは思わないが、貿易関連の難題を大所高所から解決してくれることを大いに期待する」と述べるが、宗像氏の起用が吉と出るか、凶と出るか。安倍政権の真価が問われることになりそうだ。

 

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