政治・経済

全国初のサービスエリア防災拠点化

 道の駅や高速道のSA(サービスエリア)を防災拠点として整備する動きが急速に高まってきた。

 東日本高速道路は2014年3月、首都直下型地震など広域災害時の防災拠点化機能を併設した新型SAを常磐道・守谷SAに開店した。SAの防災拠点化はこれが全国で初めて。道の駅でも栃木県茂木町、新潟県見附市などが防災拠点化と取り組んでおり今後、同様の動きが各地に広がる見通しだ。

守谷SA

警察、消防、医療機関などが「守谷SA」で防災連携訓練を行う

 新規開店した「パサール守谷」は鉄骨2階建て、床面積2800平方メートルのしゃれた建物で、その中核は地域の農産物直売所や全国で人気の飲食店21店が出店する商業施設。普段は利用者が飲食に使うフードコートを災害時には共同災害対策室に活用できるように設計、テーブルを可動式にしてベンチの内部に電源やLANポートを装備している。

 東日本大震災では、SAが被災地に救護・救援に向かう前線基地として活用された。その経験を生かして、「SAの防災機能をもっと強化しよう」(廣瀬博社長)と、守谷を皮切りにSAの防災拠点化事業が始まったわけだ。

 自衛隊や警察などがSAを車両の中継基地に使った際の教訓として、電力や通信、燃料補給などの機能強化が指摘されている。このため、パサール守谷では2基の発電機や太陽光設備を新設し、72時間連続で電源を確保できるようにした。燃料の備蓄も今までより3割増やし、断水に備え井戸も掘っている。

 防災倉庫も新設し、中型ヘリコプターが離発着できるヘリポートも整えた。従業員休憩室には応急手当て用のベッドを8台導入している。

 そして、施設が完成した3月には警察、消防、自衛隊など16機関100人が参加する大規模な防災訓練を行うなどハード、ソフト両面で万全の態勢を整えている。

道の駅に「防災館」併設 地域防災計画を練り直す

 首都直下型地震が取り沙汰される首都圏では、自然災害をにらんだ防災対策が各地で検討されている。その中で大きな役割を担うのが地域の防災拠点づくりだ。首都圏の自治体の中で早々と行動を起こしたのが、人口約1万4千人の栃木県茂木町である。

 同町は13年4月、「道の駅もてぎ」に鉄骨2階建ての「茂木町防災館」を新設した。総工費1億円は国交省の補助金で半分を賄った。自家発電機や太陽光発電設備、蓄電池設備を設け、地中熱利用システム、井戸水を利用したトイレなどを導入。ホンダの電気自動車もレンタルで確保し、災害時には携帯電話の充電用に活用する。太陽光でつくる電力は普段、農産物直売所の食品加工室で利用し、地中熱は館内の冷暖房用に使っている。

 防災館の1階は事務室と防災展示スペースなどで構成、2階は非常食や防災資材を備蓄する物資保管庫と会議室から成る。照明は環境に優しいLEDを導入した。保管庫には大量の畳があり、災害時には会議室に畳を敷いて町民の緊急避難室に変身する。

 茂木町はこれまで台風による大水害や竜巻など3度の自然災害に見舞われた。この経験を生かし町民の防災意識を高める狙いから防災館を整備したもので、古口達也町長は「災害時には町役場を補完する第2の防災本部となる。町民の避難場所ともなるが、平時は防災セミナーや環境学習の場として使う」と話す。

 茂木町を追うように、道の駅に防災設備を備える自治体が増えてきた。1例が人口4万2千人の新潟市見附市だ。道の駅「パティオにいがた」が13年夏にオープンした際、商業施設と共に災害救援活動を支援する施設も整備した。

 事業費7億7千万円を投じてつくった道の駅は、鉄骨平屋建てで床面積が1400平方㍍。直売所「健幸めっけ」、農家レストラン「もみの樹」などが目玉だが、立地場所が04年の集中豪雨で堤防が決壊した被災地に近いことから、防災施設も併設した。

 非常食を蓄える防災倉庫やEV急速充電器を備えるほか、災害時に避難できる「白いテント」が建ち、芝生エリアは救援ボランティアの野営地になる。過去の水害記録や市の防災対策を展示する「防災アーカイブ」は、「市民が防災・減災の重要性を学ぶ場だ」と市企画調整課は説明する。

 14年3月の定例議会で久住時男市長は、風水害対策と地震対策の2本立てで地域防災計画を練り直したと説明、「災害に強いまちづくりを進める」と強調した。同市は防水害訓練を年1回、実施しているが、柏崎刈羽原発に近いため、原子力災害を想定した避難訓練も14年秋に行う。

 栃木県の栃木市、那須塩原市も「道の駅の防災拠点化」を進めており、こうした機運をとらえ国交省も防災機能強化の支援策を講じる構えだ。

 

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