政治・経済

少子高齢化、労働者不足など課題先進国になった日本には倣うべきモデルはない。「社会課題」は、行政の仕事であるが、今も効果的な手を打てないでいる。しかし、一部の企業が、「課題」に向き合い始めている。課題の先進地域である地方で企業の人材や技術が生かされることは、日本の新たな針路を見つけることにつながる。

日本浮上のカギは企業にあり

 2020年の東京五輪決定や、大手企業が過去最高益を連発するなど、かつての力強い日本の復活を思わせるニュースが流れる。その裏で、国内マーケットの縮小や少子高齢化に伴う生産労働人口の減少は、サービス業や工事現場での人手不足として現実に現れている。

 解決策を移民労働者の拡大に求める案もあるが現実的ではない。また、「女性やシニアの活用も進められているが、それでも足りない」と経営共創基盤CEOの冨山和彦氏は言う。詳しくは冨山氏のインタビューで読んでいただきたいが、そもそもグローバルとローカルの経済が分断されていて、以前のように景気が回復しても日本全国に恩恵があるわけではない。つまり、日本の将来像は、過去の強い日本に戻ることではなく、新たな形をつくりあげなければならないのだ。

 では、新しい日本のヒントはどこにあるのかというと、日本のGDPの70%を稼ぐ地方の活力を生み出すことだ。

 それには、地域から先に出始めている日本の課題を解決していかねばならない。

 冨山氏によれば地方経済の課題は「生産性の低さ」にある。しかし、それは国や地方自治体だけではなんともならない。人材やノウハウなど「企業」の協力も必要になっているのだ。

 そして、企業もまたCSRではなく、もっと踏み込んだ形で地域にかかわっている。例えば、トヨタ自動車は、世界一の生産方式のノウハウを稲作に役立てる「豊作計画」を生み出した。また、富士ゼロックスも震災支援をきっかけに岩手県の遠野市で地域の発展や人材育成の取り組みを行うなど、広がりを見せる。

 アサヒビール、インテリジェンス、電通北海道、日本郵便、ヤフーの5社と北海道・美瑛町が異業種コラボレーションで行っている人材育成研修も、そのテーマを地域課題解決におく。解決できていない問題に挑むことで将来のリーダーとして必要なことを学び、社会貢献に結び付ける。研修自体も北海道の美瑛町で行い、町の職員や町民も参加する。

 企業が地域と深くかかわるメリットは地域活性化だけにとどまらない。豊かな環境で、パブリックな難問に対峙し、今までの常識を問うことは、将来の企業や地域を担うリーダーを育て、新たに進むべき道を見つけることにつながるだろう。

(本誌/古賀寛明)

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