国際

 ホルムズ海峡封鎖が米国の利益になることも

 ただし、何事もプラスの効果とマイナスの効果がある。シェール革命によるマイナスの効果として、環境問題が挙げられるが、これは技術的に解決可能だ。ただし、直接的なマイナス効果は少ないにしても、シェール革命が間接的に世界に悪影響を与えることはあり得る。

 シェール革命は、世界のエネルギー供給体制を大きく変えるため、世界の安全保障情勢に大きな影響を与えることが考えられる。オバマ大統領は、「米国は世界の警察官の役割を果たすのをやめる」と宣言している。オバマ大統領の任期は17年1月までだが、16年の米国大統領選挙では、同じ民主党のヒラリー・クリントン元国務長官の優勢が伝えられている。クリントンは第1期オバマ政権の国務長官であり、その外交姿勢は基本的にオバマのそれと大きく変わらないと思われる。しかも、長期にわたるイラク戦争、アフガン戦争の影響で、米国内では厭戦モードが残る。つまり、政治的には、「米国は世界の警察官ではない」という状況が続くと見られる。

 このため、よほどのことがない限り、米国が他国に対して強力な軍事介入を実施する可能性は低い。それは、シリア情勢やウクライナ情勢においても確認されている。

 とはいえ、現時点でも、米国が世界最大の原油輸入国である。もし、明日、イランとオマーンに挟まれるホルムズ海峡が何者かによって封鎖され、サウジアラビアやクウェートなどの石油の輸出が大きく滞ったら、石油価格の高騰は避けられない。その場合、いくら、米国は世界の警察官ではないと言っても、大規模な軍事介入を実施する可能性は小さくない。

 しかし、20年代に、米大陸全体、そして米国自身がオイル純輸出国になるとすれば、事態は大きく変化するだろう。もし、ホルムズ海峡が封鎖され、原油価格が大きく上がれば、石油輸出国には好材料である。つまり、米国経済にとって、ホルムズ海峡封鎖は決して、マイナス材料ではなく、むしろプラス材料になることがあり得るのだ。

 仮に、米国が大規模な軍事介入を実施すれば、イラク戦争、アフガン戦争同様、米国の若者の命が多く失われることだろう。「米国は世界の警察官ではない」と宣言したにもかかわらず、大きな犠牲を払って自国の不利益になることをするだろうか。米国はモンロー主義(米大陸孤立主義)の歴史を持つ。自国の利益にならない軍事介入を正当化することは難しい。

 シェール革命により米国がエネルギーを自給できるということは、米国に安全保障を、そして中東にエネルギーを大きく依存する日本にとって、大きなリスクが生まれることを意味する。このようにシェール革命の効果はさまざまであることに留意せねばならない。

 

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