政治・経済

 「ダイバーシティをやっていないのは日本とパキスタンくらいだ。パキスタンには宗教上の理由があるそうだが、日本にはそんなものはない」

 2001年のグローバルの会議で突然私の直属の上司だったビル・ディアスタインが多くの参加者の前で吠えた。当時私はジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の社長。恥ずかしながら、その時までダイバーシティという言葉すら知らず、そんなものは食ったことも身に着けたこともなかった。ディアスタインは続けた。

 「自分が知る限り日本人の半分は女性のはずだ。にもかかわらず日本の組織のマネジメントは男性ばかりじゃないか!」

 頭はたいして良くないが、柔らかいだけが取り柄の私は、「なるほど、言われてみればそのとおり。これはやるしかないな」ということでその時を境にダイバーシティの第一人者のような顔をして、ダイバーシティに、なかんずく女性の活用に邁進してきた。

 女性は優秀だ。どのくらい優秀かというと、男性と同じだけ優秀だ。とすれば女性を起用しない手はない。女性の多くには女性特有のライフイベントがあるが、それは会社の制度を整えることで相当カバーできる。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長として、まず数字でコミットした。私が定年を迎える08年3月までに全社員の35%、管理職の25%、ディレクターの25%を女性にすると事あるごとに社員の前で発言し、結果として達成した。ダイバーシティと業績の相関関係は分析のしようがないが、あると信じて今も推進している。ダイバーシティを進めた結果、業績が悪化すれば他人はそれを批判する。その時は責任を取って辞める覚悟をしている。

 5年前からカルビーの会長兼CEOの職にある。ペプシコとの提携、東証一部への上場、海外進出等を果たした。業績も5期連続増収増益中だが、30期くらいの連続増収増益を目指す、と相変わらず法螺を吹いている。その実現には女性、外国人、障がいを持つ人を含めあらゆる多様化が必須だと信じている。カルビーの取締役は7人、うち5人は社外取締役、うち2人は外国人、1人はトルコ人女性、もう1人は中国人男性。監査役の1人は女性。管理職の女性比率はやっと14・3%だ。遅い。

 20年までに政府、民間企業等いろんな組織でもっと女性を登用し、管理職比率を30%にして、新しい日本の未来を創ろうという勉強会に参画している。衆議院議員の小池百合子氏が提唱され、小池氏のリーダーシップの下に活発な議論を始めている。カルビーはスナックとかお菓子の世界では日本一だが、広く産業界の中では日本一は望むべくもない。せめて〝にいまる・さんまる一番乗り〟を目指している。それはダイバーシティ、特に日本では女性の活用が成長のエンジンだからだ。

 近々行われると噂されている安倍内閣の大幅な改造が、多くの大臣待ちの議員のためのガス抜き改造となるのか、女性登用の率先垂範となるのか、外野席の片隅から注視している。

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