マネジメント

アサヒビールは、インテリジェンス、電通北海道、日本郵便、ヤフーと共に北海道美瑛町で実施されている異業種コラボレーション研修に参加している。同社はなぜ、この異業種コラボレーション研修への参加を決断したのか。

求められる課題解決能力

 地域の課題、それは日本の課題そのものだ。労働者の減少も顧客の消失も都市部より先に表面化している。その地域が抱えるまだ答えの出ていない課題に挑戦すること、それが「人が成長する上で大きく役立つのではないか」とアサヒビールの人材育成総責任者である常務取締役の塩澤賢一氏は期待する。

塩澤賢一

塩澤賢一(しおざわ・けんいち)
1958年生まれ。慶応義塾大学を卒業後、アサヒビールに入社。主に営業畑で活躍し、大阪支社長、執行役員営業戦略部長などを経て、2014年から常務取締役経営企画本部長。

 今回、アサヒビールが美瑛町の地域課題を解決する異業種コラボレーション研修に参加したのは、人材育成という側面が強い。人事交流があるヤフーからの誘いでこの研修内容に共鳴し参加を決めたが、決め手は、「研修の成果が行政に認められた場合、現実の社会での反応が分かることが大きい」

 一般的に研修は、カリキュラムをこなすことによって自己満足に陥りやすいが、今回は本気の外部評価を得られるので参加者にもダイレクトに響く。しかも、研修中は異業種からの参加者との協働や地域の人々との交流によって、違う考え方や違う視点を得ることで刺激を受ける。

 この研修が実際のビジネスにどうつながるのか塩澤氏に尋ねてみると、「もちろん、美瑛町のために役立つことが大前提ですが、違った考え方を持つ方々との出会いが良質なダイバーシティの経験になると思っています。そして、いちばんは課題解決能力の向上が図れることだと思っています」

 アサヒビールの社内では、営業セクションだけでなく全社的に〈課題解決〉という言葉がキーワードのように出ているそうだ。かつてのように商品を説明すれば売れる時代ではなく、「これが新しい商品です。こういう売り方でいかがでしょうか」という提案型の営業も、万人に受け入れられるわけではない。

 「下手な鉄砲も数撃ちゃ……では通用しません。それぞれのお客さまによって課題が微妙に違うわけです。だから一緒に課題解決をしていくこと、共につくっていくことが大切なんです。例えば、頭が痛いとひと口に言っても原因はマチマチで、なんで頭が痛いのか本人も分からないわけですから、それを一緒に探しましょう。そして、このような方法で治していきましょうというようなことを提案できる人が必要になっています」

 「お客さまと共に」の意識こそが大事で、歴代のアサヒビールの社長も、性格や出身が違っても「徹底的にお客さまのことを考える」ことは、一致するという。課題解決能力はかねてより求められる能力であったのだ。

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