マネジメント

経営の極意① 常に富豪の思考のベースにあるもの

 前回ご紹介した『すべてを手に入れた「1%の人々」はこう考える』(山田順・ヒカルランド刊)は、富豪たちがどんな人々なのか、何を考えているのかについて、データを駆使して解き明かしている。

 1%の富豪と99%の凡庸な人々の差が何に由来するのか知るためには、格好の本だろう。本欄の読者には強くお勧めしたい。

 前回は富豪になる流儀として、社会の役に立つことを事業とせよ、という話をお伝えした。ビル・ゲイツも日本の松下幸之助も同じで、つまるところ「お金とは社会や人間の課題に対する解決法への報酬」なのだということである。

 さて、これが富豪に至る思想であり、行動のベースにある考えだとしたら、日々の思考のベースにあるものは、どんなものなのだろうか。

 これについては、興味深い話が、本書の冒頭に載っている。ある若い女性が、かの有名なJ・P・モルガン(ニューヨークに本社を置くグローバル総合金融会社)の社長宛に送ったメールと、それに対する社長からの返信である。

 この話は何年か前にインターネットで話題になり、女性の質問と社長の回答の全文が流出した。私も興味を持って、ネットに流出した日本語訳を読んだ記憶がある。

 それは、おおよそ次のような内容である。

経営の極意② お金は増えていくが美は日々衰えていく

 彼女は言う。「私は25歳でかなりの美人です。はっきりと聞きますが、年収50万ドル以上のお金持ちと結婚するには、どうしたらよいですか?」

 この後に、彼女は、お金持ちはどこに集まっていますかとか、何歳くらいの人を狙ったらよいのか、などを尋ねているが割愛。

 興味深いのはJ・P・モルガン社長の回答だ。

 「プロの投資家として答えることをお許し下さい。その視点に立つと、あなたと結婚するのは悪い決断です。理由を言いましょう。あなたは《美》と《お金》とを交換しようとしています。しかしこれには重大な問題があります。《美》はいずれ衰えていきますが、《お金》はそうではないからです。事実、私の年収は年々上がり続けています。つまり私は《魅力的な資産》であるのに対して、あなたは《値下がりしていく資産》なのです。

 そういう資産は短期保有しても長期保有はしません。レンタルで十分なのです。

 だから、あなたはお金持ちと結婚する方法を探すのを止めなさい。それよりも、あなたが年に50万ドル稼ぐ人になればいいのです」

経営の極意③ 人にも時代にも頼らない生き方を

 イギリスの皮肉屋の劇作家バーナード・ショーが美人女優に「あなたの頭脳と私の美貌を持った子供が生まれたら素敵だと思いませんか」と迫られた時、「私の容貌とあなたの頭脳を持つ子供が生まれたら悲惨ではないか」と切り返したエピソードを思い出すほど、見事な回答である。

 最も注目したい重要な点は、J・P・モルガン社長が、「人に頼らずに、自分で50万ドル稼ぐ方法を考えなさい」とアドバイスしているところだ。

 さりげない言葉であるが、とてつもなく稼ぐ人たちというのは、いつの場合にも、こうしたポジティブな姿勢を崩すことはない。一切、周りに頼るのではなく、あくまで自分の力で稼ぐ思考なのだ。

 私の顧客のミリオネアの一人は、デフレ不況時代、「こんなチャンスの時代があるか」と言って、ビルを買い、優秀な人材を雇い、M&Aをし、果敢に出店し続けたものだ。

 人に頼らないし、時代にも頼らない。いい時代にするか、悪い時代にするかは当人がどれだけ果敢に環境と戦うかにかかっている。富豪と結婚したがる女性と同様の、人任せ思考に陥ったら脱落する。

 [今号の流儀]

この若い女性と同じ「僥倖」を願う人間に成功者はいない。

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