マネジメント

強い自己顕示欲と過剰なほめ方の関係

 会社という組織はチームプレーが基本です。もちろん、一人ひとりが自分の能力を発揮することも重要なことですが、単なる個の集まりでは、うまく機能しないケースがほとんどでしょう。自分だけが手柄を得ようとするのではなく、チームの一員として周りとどう協力するか、という視点をそれぞれが持っていなくては、会社としての成長は見込めません。

 子どもたちは、幼稚園や保育園で集団生活を送る中でチームプレーの意識を身に付けていきます。けれどもそこで、必ずといっていいほど存在するのがチームワークを乱してしまう子どもです。

 その原因の大部分は「ずるをする」こと。つまり、遊びのルールを無視して自分だけが勝とうとしたり、みんなで使うべきものを独り占めしたりという自分勝手な行動です。

 会社においても、仕事のやり方が常に自己中心的な人物は、チームの輪を乱す存在になります。たとえその人物が高い営業成績を挙げていたとしても、そういう人物の存在は、周りのメンバーの大きなストレスになりますので、看過することはできません。

 子どもの場合も、大人の場合も、自己中心的な行動の多くは「強い自己顕示欲」。つまり、自分が一番になりたい、自分だけがほめられたい、目立ちたいという意識の表れなのです。

 実は、自己顕示欲が非常に強い子どもにはある共通点があります。それは、「できた!」「すごい!」「上手!」というほめ言葉を過剰に受けて育っている、ということ。結果的に彼らはこのようなほめ言葉の呪縛に囚われているのです。

 「できた!」「すごい!」上手!」というのは、結果に対するほめ言葉。そんな言葉をいつも浴びている子どもの中には、「よい結果を出すことこそが自分の価値である」という潜在意識が育ち、それが、「手段を選ばす結果を求める」という行動に走らせてしまうのです。

 「ほめる子育て」が主流になって久しい昨今ですから、そんな意識を抱えたまま、社会人デビューを果たす若者はこれからどんどん増えるだろうと私は予想しています。

自己肯定感を高める正しい「ほめ方」による人材育成

 自己顕示欲が強い人というのは、他者承認を常に求めています。逆に言えば、他人に評価されなければ、自分の価値を実感することができません。「いい結果を出さなければ自分は認めてもらえない」という方向にいつも思考が向かっているので、結果に異常に執着するのです。ずるをしたり、自分本位な行動をしたりする理由もそこにあります。

 他者承認を過剰に求める人というのは、ありのままの自分の価値を自分で認めることができない、つまり、自己肯定感が非常に低い人だということができます。ですから、自己肯定感を高めていくトレーニングが必要ですが、そのために必要なのは、結果ではなく、プロセスの一つひとつをきちんと認められる経験です。

 例えば、自分の思い通りの絵を描きたくて、みんなで使うべきクレヨンを独り占めしようとする子どもに対して、描きあがった絵の出来ばえそのものをほめているうちは、その子の自分本位な行動にストップをかけることはできません。そうではなく、「ここにオレンジ色を使うなんて、おもしろい発想ね!」とか、「随分細かく丁寧に描いているね」など、一つひとつのプロセスにおける「事実」を認めることが大事なのです。

 大人の場合も全く同じで、例えば「顧客に熱心に電話をかけているね」「スケジュールをきちんとこなしているね」というふうに、客観的な事実を冷静に、かつ、丁寧に認めてあげてください。その際、できるだけ、プロセスを細かく区切って認めていくことが大切です。そうすることで、結果ではなく、そこに向かう自分のやり方一つひとつに自信がつき、たとえ結果に到達できなくても、「自分はここまで頑張れた」という自己肯定ができるようになります。そうすると行動が変わり、考え方も変わっていきます。過剰な自己顕示欲に支配されることもなくなるので、チームのメンバーと協力することも次第にできるようになっていきます。

 「ほめる」とは本来、相手を「認める」ということです。「最近の若者はほめて伸ばすのが得策」だとばかりに、むやみやたらとほめちぎるような指導法では、ほめられることだけを執拗に求める、自己中心的な人材ばかりを増やしてしまうことになりかねません。ぜひ一度、あなたのほめ方は間違っていないか、振り返ってみてください。

 

「プロセスを認める」ことで、自己肯定感の高い社員が育つ

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