テクノロジー

「金の卵発掘プロジェクト」は、将来の日本経済を背負って立つ人材を発掘し、日本を元気にするためのビジネスコンテスト。本稿以降は、惜しくもグランプリ、審査委員特別賞は逃したものの、最終審査への進出を果たした候補者5人を紹介する。
「金の卵発掘プロジェクト」フェイスブックページはこちら

デザインの力で地域のブランド化に貢献

長岡淳一

長岡淳一(ながおか・じゅんいち)
1976年生まれ。北海道帯広市出身。専修大学経済学部経済学科卒。2002年有限会社フレーバー設立。新世代の農業のウェアを提案する、十勝リアルウェアプロジェクトなどを推進。現在、デザインで農業と地域を発信するモデルをつくるため、地域振興プロデューサーとして活躍中。12年グッドデザイン賞受賞。14年観光庁目利きアドバイザー(別海町)。

 ファームステッドは、1次産業を活性化することを1番の目標に掲げるデザイン・ブランディングカンパニーです。農家のシンボルマークや6次化対応のパッケージデザイン、新しい販路を開拓するためのブランドづくりなど、「地方にこそデザインのチカラを!」をビジョンに活動しています。

 われわれが地域発信のショーケースとして取り組んでいるものに「とかちデザインファームプロジェクト」があります。これは、「『北海道・十勝』のおいしいを『美しく』発信する」をコンセプトとした、酪農家、農家、加工業者など、第1次産業に携わるいろいろな作り手による逸品を集めたセレクトブランドです。ファームステッドはこの企画・運営を手掛けています。

 農家や小さな工房単位では、マーケティングやブランド構築は容易ではありません。少ない品数、手造りの生産数では大手流通にはのせることもできない。

 また、素人のデザインでは、百貨店のバイヤーに突き返されて、質が高いものであるにもかかわらず、いつまでたっても知られることがない。そういうモノがたくさんあることを、われわれは目の当たりにしてきました。

商品群

「とかちデザインファームプロジェクト」の商品群

 「とかちデザインファームプロジェクト」は、これらの問題を解決するべく、酪農家、農家、加工業者など、第1次産業に携わる作り手による逸品を集めセレクトブランド化します。そこに品質の高さを伝えるパッケージデザインをほどこし、単体商品では難しいアピールを、バラバラで地域ブランドとしてのまとまりがない、発信力に欠ける、そんな場合にわれわれのデザインファームプロジェクトは有効な手段となります。集合体でのデザイン力で発信しています。

 この取り組み自体が、2012年のグッドデザイン賞を受賞しました。「農産品の6次産業化に対してデザインのソリューションがある」(※審査委員によるコメントを引用)といった、農業に対してのデザイン側の回答が実現されている点が高く評価されました。

現場に根差した地域ブランド化の試み

 私たちがデザインやブランディングをする上で必ず自分たちに課していることがあります。それは農場や生産の現場に必ず足を運ぶこと。どんなに遠くであっても実際にその地を訪れ、自分の目で現地を見ることにしています。

 シンボルマークを作ったりパッケージデザインをしたりというのは結局、生産者や製品を作っている人の想い、こだわり、人柄、そしてそれを生み出す土地や風土をなにかしらのカタチで表現し、伝えることにほかなりません。

 だから仕事を頂いた以上、必ずその地を訪れます。われわれの重要なミッションは、「農業後継者(若者たち)」のモチベーションを高め、一大消費地である都市部に向けて、国産というコストに見合う商品価値や満足度を提供することです。首都圏にアピールすることは、海外(特にアジア、シンガポール・台湾・タイなど)にアピールすることにつながります。全国や海外への販路開拓を目指す農業者や食品メーカーに対し、消費者に商品を印象付けるパッケージを提案することで、高級スーパーや百貨店での販路開拓を支援します。

 これからの時代、地方の独自性をアピールして行くことが海外への戦略として有効だと考えています。そのために、地方のデザインを高めていく活動が重要です。

 それぞれの地域ブランドを発信することで、地域の食ブランドの発展、地域産業の振興に貢献し、「安心安全」「おいしさと感動」を消費者に提供していきたいと考えています。

 

【金の卵発掘プロジェクト】記事一覧はこちら

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

エネルギーフォーカス

一覧へ

緑の経済成長とエネルギー

[連載] エネルギーフォーカス

Energy Focus

[連載] エネルギーフォーカス

今後、10年後の電力業界の様相(2)

[連載] エネルギーフォーカス

発電単価から既存原発の経済性を考える

テクノロジー潮流

一覧へ

科学技術開発とチームプレー

[連載] テクノロジー潮流

テクノロジー潮流

[連載] テクノロジー潮流

エボラ出血熱と情報セキュリティー

[連載] テクノロジー潮流

21世紀の日本のかたち 農電業と漁電業

[連載] テクノロジー潮流

工学システムの安全について

[連載] テクノロジー潮流

エネルギー移行と国民の価値観の変化

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年12月号
[特集] 沸騰する食ビジネス!!
  • ・食ビジネスが熱い!! 未来型食品が社会課題を解決する
  • ・市場規模70兆円! 食ビジネスが過熱するわけ
  • ・完全バランス栄養食で誰もがラクして健康になれる
  • ・人工光型植物工場で世界の食と農に新しい常識を
  • ・宇宙食ビジネスで勝ちに行く 10年後に5千億円市場創出へ
  • ・“大人の給食”で栄養の基盤をつくる
  • ・人工肉で糖質制限者に無制限のおいしさを
  • ・テクノロジーで高品質なジビエ調達が可能に
  • ・昆虫食ビジネスの時代到来
[Special Interview]

 伊藤秀二(カルビー社長)

 掘り出そうカルビーの未来

[NEWS REPORT]

◆エンジニアへの高額給与で 富士通は生まれ変われるか

◆豊田章男・自工会会長が挑む東京モーターショー100万人

◆消費増税で現金主義は終焉 キャッシュレス時代が到来した

◆加速するeスポーツ市場! インテルが東京で世界大会を開催

[総力特集]

経済界創刊55周年記念 新しい日本のかたち

東京1964からの55年と東京2020以降の日本の姿

ページ上部へ戻る