テクノロジー

 企業が地域課題に挑む場合、ビジネスで取り組むことができれば、双方にとってメリットが大きい。日本のトップメーカーであるトヨタ自動車もビジネスとして農業支援に挑戦している。

 自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを用いて、稲作の生産性向上を狙い、愛知県の米生産農業法人、鍋八農産と米の生産プロセスの改善に着手、2014年の4月から農業IT管理ツール、その名も「豊作計画」を開発、提供を始めている。開発から協力している鍋八農産で実際の作業などを見させてもらった。

スマホ片手に米をつくる

作業の前には必ずアプリのスタートキーを押す

作業の前には必ずアプリのスタートキーを押す

 江戸の昔から金魚と文鳥の産地として知られる愛知県弥富市。その南部にある鍋田干拓地で米作を行う鍋八農産の社員にはスマートフォンが欠かせない。スマホの画面には、トヨタ自動車が開発したアプリ「豊作計画」の画面が映る。1回に行う作業や作業場所、そして目安の時間などが配信され、トヨタの生産ラインのような無駄のない作業が行われる。

 近隣の農家から作業委託も受ける鍋八農産は、広範囲に広がる土地に、パラパラと分断されている田んぼで作業しなければならないため、効率の良い作業が求められていた。

 「豊作計画」導入前は、鍋八農産の八木輝治社長が作業ごとに色分けし、白地図に書き込んで実際に作業するスタッフに配っていたが、その作業を伝えることだけでも大変であり、かつ関係のない場所で作業を行ったり、作業自体を間違うなどミスも多かったという。

 クラウドサービスである「豊作計画」は、育苗から田起こし、代かき、田植え、除草、刈取りなどの一連の米作の作業に加え、品目や品種などに合わせた工程とリードタイムを決め、1人当たりの稼働時間と作業量までが分かるようになっている。

豊作計画

農作業を効率化させる「豊作計画」のアプリ画像

 例えば、ひとつの作業でかかる量を何人必要か、であらわす「人工(にんく)」という単位を導入するなど、まさに製造業の思考だ。

 農作業を行うスタッフには、自分のスマホに毎日の作業計画が自動で作成され配信される。作業者はGPSで作業すべきエリアを確認でき、作業開始時と終了時にスマホのボタンを押すことで、情報を共有できる。さらには、農作業だけでなく、乾燥や精米のプロセスや肥料、天候、作業工程などさまざまなデータを収集、今後の米作りに生かされる。例えば、どの肥料を使えば収穫量が多いか、コストをどれだけ抑えられるかなどが分かるのだ。今後、「豊作計画」のデータ量が増えていけば、ビッグデータの解析が可能になり、経験やカンに頼らない、より安定的な収穫が見込まれるはずだ。

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