政治・経済

 スカイマークにとって、超大型機「A380」を6機購入することは国際線進出への弾みとなるはずだった。しかし、代金支払いのめどが立たないとして、製造元のエアバス社より7月末に売買契約解除を通告される。そのニュースが、今、スカイマークの経営危機説にまで拡大している。

超大型機が重くのし掛かる

 ミニスカ騒動や低価格の高級シート、A330型機の度重なる導入延期など、良くも悪くも話題には事欠かない国内3位の航空会社スカイマークだが、ここにきて会社の存続にまで影響しかねない問題が起きている。

A380型機

スカイマークの切り札となるはずだったA380型機(Photo=©AIRBUS)

 国内市場だけでは成長戦略が描けないと、ニューヨークを皮切りに国際線に進出する予定をぶち上げていたのだが、その目玉の機材である超大型機の「A380」6機の支払いめどが立たないとして、製造元のエアバス社から、売買契約の解除を通告されたのだ。既に1機は完成しており、尾翼にはスカイマークのペインティングも施されていた。

 スカイマークも今年4月からエアバス社と交渉を重ね、2機の納入延期と4機のキャンセルを打診していたが、虫のいい話とエアバス側は700億円にも上る違約金を請求しているようだ。既に支払われた260億円近い金額も戻ってくることはないという。

 7月末に発表された2014年4〜6月期の決算発表でも売上高は181億円、営業利益は55億円の赤字に転落している。財務内容が悪化した上に、巨額の違約金がのし掛かってくれば、会社の存続が危ぶまれてもおかしくない。赤字転落の原因は、燃料費の高騰やLCC(格安航空会社)との競争激化だが、そもそも、そんな時に、なぜ国際線への進出なのであろうか。

 確かに、LCCという新たな競合と価格競争を行ってはいたが、羽田空港の発着枠を持っているスカイマークは地道に経営をしていけば圧倒的に有利なはずだ。しかし、それでもあえて海外に出るといった裏には、「大手航空会社に伍するスカイマーク」といったイメージを西久保愼一社長が捨てきれなかったことがあるのではないだろうか。

 と言うのも、この国際線への進出計画が実行されたのは11年のこと。この時、スカイマークは数字の上でも大幅な黒字を計上。その上、JALは再建の真っただ中、復活するにしてもまだ時間はかかる。そこに付け入る隙を見いだしたのではないだろうか。

 ただ、国際線進出については、そもそも見込みの甘さを指摘する声は上がっていた。

 ニューヨーク便を例にとって考えてみてもよく分かる。ANAもJALも北米線が好調なのだが、その背景にあるのは、日本を中継地点としてアジアと北米を結んでいること。つまり、日本人以外の顧客をうまく取り込んでいることだ。

ページ:

1

2

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。100年弱の歴史を持つ高砂香料工業── まず御社の特徴をお聞かせください。桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える香料の専門メーカーです。基本…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年9月号
[特集]
この夏飲みたい日本の酒

  • ・総論 量から質へ“こだわり”が求められる時代へ
  • ・埼玉・秩父から世界一へ イチローズモルトの奇跡
  • ・家庭でも酒場でもレモンサワーが飲まれる理由
  • ・幕末からよみがえった都心の酒蔵 東京港酒造
  • ・本間哲朗(アプライアンス社社長)
  • ・伊豆で愉しむ野趣なワインと夏の富士
  • ・トップが薦めるこの夏のビール

[Special Interview]

 宮内義彦(オリックス シニア・チェアマン)

 「トップの器以上に会社は大きくならない」

[NEWS REPORT]

◆ヨーロッパに続け! 動き始めた日本の再エネ事業

◆東芝のPC事業を買収し8年ぶりに参入するシャープの勝算

◆日産―ルノー経営統合問題に苦慮するカルロス・ゴーン

◆大阪がエンタメで仕掛けるインバウンドと夜の経済

働きがいのある会社を総力取材

 人材育成企業20

 企業の成長戦略をクローズアップ

ページ上部へ戻る