政治・経済

 国土交通省によると、2013年度の新設住宅着工戸数は前年度比10・6%増の約98万7千戸で、うち賃貸物件は同15・3%増の約37万戸。持ち家などは消費増税の駆け込み需要の反動による減少でマイナスが続くが、賃貸物件は6月まで16カ月連続のプラスとなった。

 一方、総務省の統計では昨年10月時点の空き家数は全国820万戸、住宅に占める比率は13・5%と、ともに過去最高となった。来年1月の相続税課税強化を前に個人の節税対策としてアパートなど賃貸物件の建設が急増しているのも一因とみられる。

 相続税は来年1月から基礎控除額が4割、引き下げられて課税範囲が広がる。死亡者のうち相続税の対象となるのは、現在の年間で約5万人から1・5倍に増えるともいわれる。

 ただ遺産が土地に建てられた賃貸住宅だと、入居者の借地権などが資産評価から差し引かれ、相続税の評価額が大きく下がる。そのため賃貸物件の建設が都市部を中心に急増している。

 空室率は過疎化の進む地方だけでなく、都心でも新築物件の供給過多で増える傾向にある。今後は供給過剰が進み、入居者が集まらないことが懸念されている。昨年度の新設着工実績は約37万戸だが、みずほ総合研究所の試算では、潜在的な需要は約30万戸、今年度で約29万戸、来年度で28万戸にすぎない。

 入居者が集まらなければ建設資金を融資した金融機関の経営も揺らぎかねない。金融庁が7月に発表したリポートでは、不動産価格や家賃相場の動向、空室率などのリスクを把握しないまま、不動産賃貸業への融資比率が極端に高い信用金庫や信用組合、第二地銀などの地域金融機関が出ていると指摘している。

 ハウスメーカーの担当者は「賃貸経営は立地条件を吟味するだけでなく、外国人や高齢者も積極的に受け入れるなどの工夫が必要」と、節税対策を優先した賃貸物件の急増に警鐘を鳴らしている。

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