マネジメント

人材育成のコツ① 納期を守れない人は、計画に価値を感じない人

 決められた納期を守る、やるべき仕事を確実にこなす、という、いわゆるタスク管理は、社会人なら当然できなくてはいけないことです。けれども実際には、その当たり前のことがスムーズにできない人がいます。

 実は、こういう人の多くは、自分自身も「納期は守れない」「仕事をこなせない」という自覚は持っているようです。ただ、その自覚があることはむしろマイナスに働きがちで、「できるかもしれない」という可能性をなかなかイメージすることができません。

 なぜ、そのような思考になるのかと言えば、彼らが「計画的に物事を進める」ことに全く価値を置いていないから。どういう手順で進行していくかを考えることは、納期を守ったり、与えられた仕事を確実にこなすために、欠かせない作業ですから、納期を守れない、仕事をこなせない原因はまさしくそこにあります。

 計画性というのは、一種の習慣です。ですから、それが習慣として身に付いていない人にとっては、「目的を達成するためにまずは計画を立てる」という行為が決して当たり前のことではないのです。

 幼児は、未来のことをすべて「明日」と言ったり、過去のことは数週間前であっても数年前でもすべてが「昨日」だったりします。また、小学校低学年くらいの子は、例えば、学校に行く時間が5分後に迫っていても、準備ができていないことに慌てることはあまりありません。なぜそのようなことが起こるかと言えば、時間の感覚が未熟だからにほかなりません。そんな子どもたちに何か目的を達成させるためには、いつ、何をするか、を明確に示してあげることが大切です。

 例えば「8時に学校に行く」という目的のためには、

1.7時に起きる

2.7時15分に朝食を食べる

3.7時40分に歯を磨く

4.7時50分に服を着替える

 といったミッションを一つひとつクリアするという経験を積ませるのです。「やるべきことをクリアすれば目的が達成できる」という前向きな経験を積むうちに、時間までにこれを仕上げるには、その前にAとBとCを順番にやっておかないといけないな、という感覚が育ち、時間を逆算すること、つまり計画性の習慣も自然と身に付いていきます。

人材育成のコツ② スケジュール帳の活用で「計画性」を育てる

 大人の場合も、「計画性」の習慣が身に付いていないのであれば、何よりもまず、ある目的のために、いつ、何をするか、を考えるトレーニングが必要です。そのために、効果的な指導法は、スケジュール帳の活用の仕方を教えることだと思います。

 ただ予定を書き込むだけでなく、「自分がやらなくてはいけないことの構造」「いつ、何をするべきか」「自分がどこまでやれているか」がすべてスケジュール帳の中で、可視化されるよう指導してください。 つまり、

1.納期までに何をやるべきかを書き出す

2.毎日の時間軸の横に、何をやるかを書き込む

3.その実行の可否のチェックする

 という作業を徹底させるのです。「計画性」に欠ける人は、書いたらそれで満足してしまうケースも多いので、毎日内容を見直すよう助言し、定期的にその内容をチェックし、仕事の進行具合も丁寧に確認しましょう。これが徹底されれば、おのずと結果も伴ってくるはずです。そうして得た達成感の積み重ねがあってこそ、「計画的に物事を進める」ことの価値を実感できるようになるのです。

 「計画性」の習慣をそれなりに身に付けている人であっても、社会人になって与えられるタスクの量や責任は学生の時の比ではありません。実は私自身も、幼稚園の先生の仕事を始めてしばらくは、膨大な仕事量をただ後追いしているだけで、うまくことが進まないとパニックに陥るということの繰り返しで、その状況に大きなストレスを抱えていました。そんな時に、スケジュール帳の活用を指導してもらったことで、仕事をうまく整理する術が身に付いたように思います。

 仕事がステップアップすれば、タスクも増える一方なのですから、しっかりとしたタスク管理能力の育成は、新人研修のひとつにぜひ組み込んでいただきたいテーマです。その指導を怠っているのに、「できない」ことを責めても、できない人をパニックに陥れるだけ。できないことを怒り続けるだけでは社員の成長はあり得ないことを、経営者の方にはぜひ肝に銘じていただきたいですね。

「新人研修の大きなテーマにタスク管理能力育成を」

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

葬儀業から脱皮しライフイベントのプラットフォーム運営企業へ―ライフアンドデザイン・グループ

古い体質が残り実体が見えにくい葬儀業界の中で、「パッケージ化された分かりやすいサービス」「家族葬など小規模葬儀に特化」「低価格だが高品質のおもてなし」「出店スピードの速さ」等を強みに事業拡大。人生の終末や死別後に備えた事前準備を行う。文=榎本正義 村元 康・ライフアンドデザイン・グループ社長…

村元 康・ライフアンドデザイン・グループ社長

人材領域で培ったテクノロジーを活用し社会課題を解決する―ビズリーチ

上場して分かったTOKYO PRO Marketのメリット―前田浩・ニッソウ社長に聞く

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

経済界が主催するベンチャー企業支援企画「金の卵発掘プロジェクト2018」でグランプリを受賞した草木茂雄・エムアールサポート社長。建設・土木というガテン系の領域でイノベーションを起こすための挑戦を追った。(吉田浩) 草木茂雄・エムアールサポート社長プロフィール   測量とアートが結び付…

草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

再エネ時代到来に向け、大石英司・みんな電力社長が目指す「顔の見える」世界

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年8月号
[特集] SDGsは江戸にある
  • ・「仁義道徳」 経済人に必要な「利益」と「倫理」
  • ・「利他」 「気候変動に具体的な対策を お金の流れが意識を変える」
  • ・「善の巡環」 高邁な理想を支える創意工夫と挑戦
  • ・「才覚、算用、始末、商人倫理」 SDGsの精神宿る江戸商人
  • ・「国利民福」 国が栄えれば人々も幸福になる
  • ・「先も立ち、我も立つ」 石田梅岩と商人道徳
  • ・「気丈」 学問は「治安」「エンタメ」「立身出世」──江戸庶民の教育事情
  • ・「心田開発」 二宮尊徳の報徳思想
[Special Interview]

 里見 治(セガサミーホールディングス会長グループCEO)

 日本初のIR事業への参入はエンターテインメント事業の集大成

[NEWS REPORT]

◆メガバンクからの陥落目前 みずほ銀行の昨日・今日・明日

◆巨大ドラッグストアチェーン誕生か 業界再編はココカラ始まる

◆カリスマ・鈴木修会長に陰り? ピンチを迎えたスズキの前途

◆G20農相会合で見えてきたスマート農業の未来像

[特集2]

 AI時代に稼げる資格

 今必要な資格、将来必要な資格はこれだ!

ページ上部へ戻る