政治・経済

 アベノミクスで息を吹き返した感のあった証券業界だが、2014年度序盤戦は株式市場が低迷し、経営基盤の脆さが露呈された。そんな中で、金融庁主導で進められている営業スタイルの見直しは証券会社への足枷となり、業界再編の機運が漂い始めている。

金融庁主導で進む証券業界の営業見直し

東京証券取引所

再編の兆しが出てきた証券業界。写真は東京証券取引所

 証券業界に冷や水を浴びせたのが2014年度第1四半期の状況だった。中でも、序盤戦は東京証券取引所の株式売買代金が低迷し続け、かつての証券不況の小型版のような様相すら漂っていた。アベノミクスによる株式相場の復調によって、息を吹き返した感のある証券業界ではあるが、その経営基盤の脆さが再確認されたと言っていい。

 そんな中で、金融庁主導で進展しているのが証券各社の営業スタイルの見直しにほかならない。金融庁は今春、募集手数料稼ぎを目的とした投資信託の回転売買を問題視し、顧客に長期的な保有を促す営業への転換を証券業界に通知した。同時に、証券各社への検査でも、同様に投信の販売姿勢を厳しくチェックし、監督、検査の両面において、証券セールスの健全化が金融庁の重要テーマであることを強く印象づけた。

 「もう、販売手数料狙いのセールスはできないということですよ」

 ある中堅証券トップが深刻な表情でこう受け止めているように、証券業界が大きな転換を迫られていることは間違いない。その一方で、準大手以下の証券各社には、改革の道を積極的に歩みにくい状況が重くのし掛かっている。そのひとつが株式委託手数料率の劇的な低下だ。

 同手数料率については、固定費が極めて低いネット専業証券各社が一時、激しい引き下げ競争を繰り広げた。それに引きずられ、伝統的な対面証券でも同手数料率を引き下げざるを得ず、「今や、株式委託売買は赤字になってしまった」(中堅証券)というほど。そのため、各社の間では手数料率の高い投信の販売に基軸を移す動きが拡大した。

 しかし、各社にのし掛かっている問題はそれだけではない。もうひとつの収益源だった自己勘定による株式トレーディングが大きな曲がり角を迎えてしまった。東証が順次行っている株式売買注文の呼び値縮小によって、トレーディングに適している銘柄の値動きが小刻みになり、売買による収益率が低下してきた。むしろ、外資系証券などがHFLと呼ばれるコンピューターを駆使した大量発注の高速度取引がこの呼び値縮小にマッチして拡大したため、同様のシステムインフラを整備できない準大手以下の証券各社にとって、トレーディングはリターンが縮小する一方でリスクが高まったビジネス領域と化してしまった。

 そうした事態の発生をいち早く察知した中堅クラスの中には、株式トレーディングから完全撤退する動きも相次いでいる。逆に、この分野をメーンビジネスとしてきた光世証券は著しい苦戦を強いられている。

 そうした中で、東証は、株式売買の夜間取引市場構想を証券各社に伝えたが、各社の反感を買うだけに終わった。

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