政治・経済

 経済産業省は、電力の小売り全面自由化など「電力システム改革」のスケジュールを明記した電気事業法改正案を臨時国会に提出した。先の通常国会では与野党対立のあおりを受けてまさかの廃案になったが、7月の参院選で与党が圧勝し〝ねじれ〟が解消。今臨時国会で早期成立が期待される中、新規事業者の鼻息は荒いが、原発停止による供給力不足の懸念は消えていない。

「電力システム改革は待ったなしの改革。一刻も早く実行に移す必要がある」。茂木敏充経済産業相は10月15日、電事法改正案を閣議決定した後の会見でこう力を込めた。

 改正案は、2015年をめどに全国規模で電力需給を調整する「広域系統運用機関」を設立することが柱。さらに、電力小売りの全面自由化を16年に、電力大手の発電と送電部門を別会社にする「発送電分離」を18~20年に実施すると付則に規定した。

 先の通常国会での与野党協議を反映し、電力会社の競争条件の悪化が見込まれる場合、一定の措置を講じることも見込んでいる。

 システム改革は原発事故を受け、安定供給を重視する大手電力会社の地域独占体制を転換、電力事業に競争原理を導入するのが狙いだ。実際、新興勢力は改革を〝追い風〟ととらえ、事業拡大を虎視眈々とうかがう。

 約200万㌔㍗の発電能力を持つ東京ガスは、20年までに300万~500万㌔㍗に増やす方針。さらに、日本製紙が三菱商事、中部電力と組んで、静岡県の自社工場敷地内に10万㌔㍗級の石炭火力発電所を建設するなど異業種からの参入も相次いでいる。

 都市ガス大手幹部は大手電力の牙城が崩れることで、「既存事業者を含めて業界再編が加速するだろう」と予測する。

 ただ、システム改革には供給力不足の懸念がつきまとう。原発停止による供給力不足が続けば、競争原理を導入しても、最終的な目標である電気料金の低減につながらない。電力各社が利益確保のため安全面への投資を怠れば、大規模停電などのトラブルが起きる事態も考えられる。

 大手電力会社は「供給責任があいまいになることで、電力の安定供給に支障が出る」と指摘する。料金引き下げ競争と安定供給のバランスをどうとっていくか。システム改革の真価が問われそうだ。

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