マネジメント

 銀行の融資には、表面上の金利の他に「実効金利」という考え方があります。実効金利は次のように計算されます。

 

◦実効金利=(融資利息-預金利息)÷(融資平均残高-預金平均残高)

 

 右の式にある融資・預金の平均残高とは、1年などの一定期間における平均額を指します。ここで、融資平均残高が、「8千万円」で、預金の平均残高が「3千万円」だったとしましょう。そして、融資金利が「2・0%」で、預金金利が「0・1%」であるとします。この場合、融資利息と預金利息は次のように求められます。

 

◦融資利息:8千万円×2・0%=160万円

◦預金利息:3千万円×0・1%=3万円

 

 そして、実効金利は次のとおりとなります。

 

◦実効金利:(160万円-3万円)÷(8千万円-3千万円)=3・14%

 

 実効金利の考え方では、銀行からの融資額を、「融資額から預金額を差し引いた金額」としてとらえます。

 つまり、融資額8千万円のうち3千万円は、実質的に自分の預金から借りているものであり、銀行からの実質融資残高は5千万円になるということです。

 また、企業が銀行に支払っている利息も、「融資利息から預金利息を引いた金額(例では157万円)」となり、それを実質融資残高で割ったものが実効金利となります。この例では、表面上の融資金利が2・0%であるのに対し、実質金利は3・14%にも上ります。そして、この3・14%こそが銀行の実質的な取り分であり、融資を受けた企業に実際に課される利率と言えるのです。ですから、企業側は、表面上の金利ばかりではなく、実効金利もきちんと把握しておくことが大切なのです。

実効金利の計算結果が割高な銀行を狙う

 実効金利は、金利交渉の材料としても有効です。例えば、ある企業Z社のA銀行とB銀行における融資・預金取引がそれぞれ、次のとおりであったとしましょう。

【A銀行】

◦融資平均残高8千万円/預 金平均残高3千万円

◦融資金利2・0%/預金金 利0・1%

◦融資利息:8千万円×2・0 %=160万円

◦預金利息:3千万円×0・1 %=3万円

【B銀行】

◦融資平均残高5千万円/預 金平均残高100万円

◦融資金利2・3%/預金金 利0・1%

◦融資利息:5千万円×2・3 %=115万円

◦預金利息:100万円×0・  1%=0・1万円

 

 ここから、A銀行とB銀行のZ社に対する実効金利を(先の式を使って)計算すると、A銀行が3・14%でB銀行は2・34%となります。融資の表面金利はB銀行のほうが高いにもかかわらず、実効金利はA銀行のほうが高くなるわけです。この結果から、金利の引き下げ交渉を行うべき相手は、表面金利の高いB銀行ではなく、A銀行であることが分かります。また、この例からも明らかなように、融資を受ける一方で、預金を多く預けている銀行の場合、結果的に実効金利が高くなります。銀行側は、そのカラクリを隠しつつ、「預金残高は常に3千万円以上をキープしてください」と要求してくることがあります。そんなとき、融資審査への支障をおそれ、銀行の言いなりになるばかりではなく、実効金利を割り出して、他行と比較し、金利の引き下げを迫るようにしたいところです。

 加えて、先の例のB銀行に関しては、表面上の金利がA銀行よりも高いので、単純に表面金利の引き下げが要求しやすいはずです。

実効金利の計算による金利交渉

 実効金利のもう1つの活用法は、役員・従業員の預金も含めた上で実効金利を計算し、金利交渉に使うことです。銀行は、企業との取引において、その代表者や役員、従業員、さらには、関係会社の預金・融資状況も含めて計算しています。ですから、これらも実効金利の算定に利用できるのです。また、振込手数料や外国為替手数料など、企業が銀行に支払っている手数料を計算し、銀行の収益にどれだけ貢献しているかを明らかにするのも効果的です。融資を受けている銀行に、多額の手数料を支払っているなら、金利交渉を有利に進められるでしょう。とにかく、金利交渉で大切なのは、「引き下げ要求の妥当性を数字で示す」ことです。数字に裏づけされた主張には説得力があり、銀行側も受け入れやすいものです。実効金利を含めたさまざまな角度から自社が銀行にもたらしている収益を割り出し、銀行の比較を行いながら、金利交渉に臨んでください。

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