政治・経済

 国土交通省は、地方自治体に複数年の契約を促し、中長期的な雇用を確保する環境整備に向けた規制緩和の策定に乗りだした。建設業界は人材不足と資材高騰が深刻で、公共工事の入札が成立しない「不調」が今も頻繁に起きているためで、2020年の東京五輪開催に向けた施設整備が本格化していく中、現場の逼迫感は増すばかりだ。

「人手不足は型枠工、鉄筋工など関連する全業種に波及している」と都内中堅業者は話す。資材価格や人件費の先高感も強く、数年にわたる工事期間中に経費が高騰しかねないため。「受注すれば赤字になる」(同)と公共工事の入札に参加しない業者は多い。都内でも大型健康施設などが相次いで不調となっている。

 被災地でも状況は深刻で、堤防など土木工事を中心に多くの計画があるが、用地買収が難航していることに加え、人材不足と資材高騰が続いているため、着手の見通しは立っていない。

 宮城県の中堅業者は「これから本格的な復興の段階に入っていくのに作業が進まない。東京五輪の施設整備などが本格化する来年、再来年以降はますます状況が厳しくなるはずで、その前にめどをつけたいのだが、難しいだろう」と話す。

 建設業界は公共事業が減ってきた過程で縮小して高齢化が深刻。厚生労働省によると建設業で、人手不足を感じる企業の比率から余剰を感じる企業の比率を引いたDI値は8月、調査を始めた1994年2月以来、最高の29ポイント。建設業の有効求人倍率は8月に2・4倍と、昨年度平均(1・9倍)を大きく上回った。

 状況改善には若手育成と賃金の引き上げが急務。国交省は13年度、公共工事の費用を見積もる目安となる労務単価を、全国平均で15%、被災3県で21%、それぞれ引き上げた。だが実態は「50%引き上げてやっと追い付く水準」(宮城県の中堅業者)といわれるほど開きがある。

 自民党でも国交省の方針に沿った関連法案を、議員立法で来年の通常国会に提出する準備を始めているが、有効な対策となるかどうかは不透明だ。

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