マネジメント

 独立系PR会社のベクトルは創業から19年で上場した。現在ではソーシャルメディアマーケティングなどの手法も駆使しながら、高い宣伝効果でクライアントからの評価も上がっている。海外進出も積極的で、常に新たな領域に挑戦し続けている。

広告が効かない時代になって関心が高まるPR

「アジアナンバーワンのPRカンパニーを目指します」

「アジアナンバーワンのPRカンパニーを目指します」

 クライアントが広告宣伝に対して、費用対効果を強く意識するのは当然のこと。結果、効果が出ないと分かれば、その費用は即座に削減される。情報が氾濫する時代となって、現代はかつてのように広告が効かなくなったといわれるが、その一方でにわかに注目が集まっているのがPRだ。広告は、広告代理店などがクリエーターを使いながら多額の費用を掛けて作り上げるとともに広告枠を押さえるもの。それに対してPRとは、企業が拡散させたい情報を新聞、雑誌、テレビなどの媒体でニュースとして採り上げてもらうことを指す。そのパブリシティ業務のサポートやコンサルティングをするのがPR会社である。

 事業の性格上、PR会社の多くは企業の広報部からの下請け的要素が強かった。その業界の慣習に風穴を開けたのがベクトルを創業した西江肇司氏だ。関西学院大学に在学中からビジネスをはじめ、プロモーション会社を設立したのち、2000年にPR事業を主軸とする会社に作り替えた。それから12年で業界トップに躍り出て、12年3月に東証マザーズに上場した。

 西江氏は言う。「企業がモノを売るために情報を広めようとするときに、かつてはCM、広告が中心でした。しかし現在のように、インターネットが普及し、メディアの情報量が増えてくると、広告も昔のようには効かなくなってきます。そうなると、広告ではない形でテレビや雑誌で採り上げてほしい、ネットニュースの記事にしてほしい、ソーシャルメディアで話題になってほしい、口コミで広がってほしいというニーズが強くなってくる。消費者のほうも、広告だと分かると白けてしまいますからね。われわれPR会社はいかに効率良く、莫大な広告費を使わずにモノを広めていくかという仕事をしているわけです」

 もともとPR会社は、老舗系も多いが、広告代理店と比較すると、規模も小さい。そのような状況下で、ベクトルが急成長したのは広報部のサポートだけではなく、広告宣伝部に営業し、広告予算を取りにいったからだ。つまり広告宣伝に代わる、戦略PRに特化したことが奏功した。

 現在のベクトルは持ち株会社に移行しており、その傘下には主力の戦略PR事業のほか、ソーシャルメディアマーケティング事業、映像事業、IT–PR事業などを行う10の事業会社(海外は別途7つ)で構成されている。PR関連では、クライアントから寄せられるさまざまなニーズにワンストップで応えられる稀有な存在である。

 現在、進行しているプロジェクトも年間約900件に上り、向こう3年以内には1500件まで伸ばす計画を立てている。

 「PR事業を始めてから、毎年20〜30%の成長を続けています。最近では、広告のプレゼンがあったら、そこでどういうPRをしていくかという提案がクライアントさんから重要視されるようになっています。昔は人気のあるタレントを起用したCMの企画で良かったのですが、今は違います。ですから広告代理店と、最初から一緒にプレゼンに参加することもあります。大事なのは時代の流れをつかむことと、クライアントが世の中に伝えたいことを正確に把握して、〝これなら広まる〟という情報を開発することなのです」

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