文化・ライフ

 最近、節電のために照明を減らした結果、薄暗く感じるオフィスが増えてきました。ですが、職場が薄暗いと、そこで働く人がウソつきになる可能性が高まるようです。米ハーバード大学のグループは、ちょっと意地悪な実験をしました。内容は、被験者に算数の問題を解かせて自分で採点させ、その点数に応じてご褒美の賞金をあげるというもの。もちろん自己採点ですから、被験者はウソの申告が可能です。この条件下で、被験者の行動をこっそり観察したところ、明るい環境では、ウソの申告の割合が24%であったのに対し、薄暗い部屋では61%にも達したのです。

 人の脳は、周囲の明るさに応じて大きく2つの戦略を使い分けます。まず、明るい場所では自分の貢献が周囲の人によく見えるので、脳は無意識のうちに誠実にふるまおうとします。他方、薄暗い場所では自分の貢献になかなか気付いてもらえないばかりか、多少のズルをしても周囲に気付かれない可能性があります。ゆえに脳は、悪気がなくても、平気でウソをつく戦略に切り替えてしまうのです。

 ここで注目していただきたいのは、ウソをつくかどうかが個人の倫理観だけで決まるものではないことです。顧客情報の流出や資金の着服など、たった1人の社員の不正が会社全体を危機に追い込むことがあります。社員全員に誠実であり続けてもらうためには、少々、電気代がかさんでも、オフィスは明るくしておくほうが無難なのです。

 同様に、社員の不正を防ぐうえでは、勤務時間帯を朝型にするほうが賢明でしょう。朝型の人は誠実で、夜型の人はウソをつきやすいという研究結果があるからです。要するに、明るい時間帯に活動する朝型の脳は、仲間との協調戦略を選び、暗い時間帯に活動する夜型の脳は仲間を出し抜く戦略を選ぶということです。ですから、少なくとも経理のポストには朝型の人を優先して雇用するのが安全でしょう。とはいえ、米ジョンズ・ホプキンス大学が今年発表した論文によれば、朝型の人も夜になるとウソをつきやすくなるようです。したがって、社員を夜遅くまで残業させるのは危機管理上、望ましくありません。朝早くの出社を奨励してください。

 

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