マネジメント

 時代はグローバル。筆者の元にも海外税務に関する質問がよく寄せられます。そこで今回は、海外税務の実務上の留意点を簡単に説明します。

心得1 実際の租税負担率に着目すべし

 日本の税制上、一定の条件を満たさないかぎり、海外子会社にも日本の税制が適用されます。

 端的に言えば、海外子会社の租税負担率が20%以下(トリガー税率)の場合、日本の「タックス・ヘイヴン(Tax Haven)対策税制(外国子会社合算税制)」が適用され、日本との合算課税になります。

 また、当該国の表面上の税率が20%超だったとしても、それだけで現地子会社がタックス・ヘイヴン対策税制から逃れられるとは限りません。各国にはそれぞれ優遇税制があり、表面税率が20%超であっても、決算期における海外子会社の実際の租税負担率が20%以下になることがあるからです。そのような場合、当然、タックス・ヘイヴン対策税制の適用対象となり、日本での合算課税となります。ですから、タックス・ヘイヴン対策税制が適用されるか否かは、事業年度ごとに判断する必要があるのです。

 これは余談ですが、シンガポールは以前、日本からの投資を呼び込むために、タックス・ヘイヴン対策税制にひっかからないギリギリの税率を定めていました。ですが、同国はその方針を変え、日本のタックス・ヘイヴン対策税制を無視したかのように税率を下げ始めたことがあります。そのとき、「シンガポールもとうとう日本を見限ったか」と残念に感じたものです。

心得2 資産性所得のしばり

 タックス・ヘイヴン対策税制では、租税負担率が20%以下になった場合でも、ペーパーカンパニーではなく事業実態がある場合には、タックス・ヘイヴン対策税制の適用対象外になる規定があります。ただし、この規定を悪用するケースが目立ったために、2010年4月以降は、適用除外要件を満たしている場合も、配当・利子等の合計額が1千万円超の資産性所得は、日本での合算課税対象となっています。この点にはご注意のほどを。

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