政治・経済

 川村座長は最終報告の発表時、「順序としてはまず、夜間取引を検討すべきだ」と主張した。研究会で行った夜間についての論点を整理し、東証が判断する。

 その際、重要になってくるのが実施した場合の売買代金だ。せっかく始めても取引が少なければ、東証に批判が集まるのは必至だからだ。現に、一部の証券会社が運営するPTS(私設取引所)では、夜間の取引量は15億円程度。東証での1日の売買代金は1兆5千億円と、差はあまりに大きい。東証が実施すれば、信用取引が行える可能性が高いほか、取引所取引の安心感も手伝い、PTSよりは増えるとみられる。ただ、どの程度増えるかは「やってみなければ分からない」(東証幹部)のが現実だ。

 「(東証が1月から実施した)株価の刻み幅縮小のように、流動性の高い100銘柄(TOPIX100)に絞ってやればいい」(市場関係者)との意見もあるが、「取引機会については、銘柄を差別できない」というのが東証の立場だ。

東証に対する批判の声も

 午後9時くらいから始まる夜間であれば、日本取引所の斉藤CEOが繰り返す「現在、多くが午後3時以降に行われる情報開示を踏まえた取引」ができる可能性が高い。現在は開示を踏まえた取引が日本より海外で先に行われており、東証内ではこのことを問題視する空気が強い。

 証券会社などが大株主だった東証だが、昨年1月に大阪証券取引所(現大阪取引所)と経営統合したことで上場。証券会社の意向を過度に聞かなくてもよくなった。10年に取引時間延長を議論した際、東証は反対意見に押される形で、翌年から昼休みを短縮することが精いっぱいだったが、今は状況が変わり、「フリーハンドで決められるようになった」(証券会社関係者)。

 ただ、上場した途端に「国際化」を掲げ、証券会社に負担のかかる株価の刻み幅縮小などに打って出た東証に対して、批判の声も大きい。また、刻み幅縮小も夜間取引もPTSが先行してきただけに「PTSつぶしではないのか」との指摘もある。

 東証は既に、証券会社や投資家からのヒアリングを始めている。決定は今秋までとの観測に対して、斉藤CEOは出張中の台湾で8月、「年内に決めたい」と話した。対面型証券会社の関係者には「皆の意見を聞いて決めた、という体裁を整えたくて時期を延ばしたのではないか」との見方もある。決定までにまだ、波乱が起きる可能性も否定できない。

(文=ジャーナリスト/柳一夫)

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