政治・経済

 そのため、LCCが即戦力になるパイロットを中途採用したくても、かつてJALの経営破綻でリストラされたパイロット以外に応募する人はほとんどいない。JALやANAのパイロットは年収1500万円以上が珍しくないが、LCC各社のパイロットは年収700万〜800万円とされ、収入差が大き過ぎるのも人材の流動性を阻む一因という。

 ならば海外からパイロットを採用すればいいと思えるがこれも難しい。海外で資格を取得していても、日本の航空会社に就職するには新たに資格を取り直す必要がある。しかも日本では飛行時間や適性などパイロット資格の取得基準が海外よりも厳しい。海外ではパイロットの派遣会社があり航空各社は派遣パイロットで人材不足を補うことができるが、日本には派遣会社制度自体が存在しない。

対応策は待ったなし

 参入が遅れたために日本ではLCCに対する認知度がまだ低い。旅行業界の調査によれば実際にLCCを利用したことがあると回答した人はわずか2%未満だ。だが、成田や羽田だけではなく、地方空港も採算割れを回避するためアジア近隣諸国の海外LCCの誘致に力を入れている。LCCを選択する人が増えればパイロット不足に拍車が掛かる。

 日本には「2030年問題」もある。JAL-ANAの機長クラスは40代以上に偏っており20〜30代は訓練生や副機長クラスが目立つ。国土交通省のデータではこのままだと機長クラスが相次いで定年退職する30年ごろには日本の空でパイロットが約8500人必要になるとみられる。世界規模でもビジネスや観光などの航空需要の拡大で、30年には約98万人のパイロットが必要になる。著しい経済成長をみせるアジア太平洋地域では約23万人が必要で、各国の航空会社によるパイロット争奪戦は必至の情勢だ。

 例えば、40歳前後で現役を退く航空自衛隊のパイロットの転職を促す知恵はないか。パイロットの定年を延長するための健康管理や検査の仕組みをつくれないか。私立大学などにパイロットの養成機関を増やせないか。有能な外国人パイロットの導入促進策はないか。パイロット確保に向け、早急な対応策が求められている。

(文=ジャーナリスト/梨元勇俊)

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