政治・経済

 9月3日、第2次安倍改造内閣がスタートした。大臣18人枠のうち女性5人を起用し、女性活躍推進担当大臣まで置くという、女性シフト内閣だ。

 日本再興戦略では、リーダー的立場に占める女性の割合を2020年までに少なくとも30%程度にまで高めるという目標を掲げているが、政府自らそれを形で示したということだろう。

 数値を掲げて女性の活躍の場をつくる方法をポジティブ・アクションという。性別や人種を理由とした差別を撤廃するためには、禁止するだけでは不十分で、本当の意味での対等な競争が実現するまでの間は、失われた分の機会を補填するべきだという考え方が、ポジティブ・アクションのもとになっている。

 よく知られるのは欧州に広がっているクォータ方式だろう。割当制度とも呼ばれるもので、政治分野から始まり、今では上場企業の取締役についても、片方の性が40%を切ってはならないというルールになっている。日本が採用しているのは数値目標と達成期限を決めるゴール・アンド・タイムテーブル方式で、クォータ方式よりは穏やかな施策だ。

 それでも根強い反対意見はある。

 まず、なぜそこまでする必要があるのか、という声である。これに対する答えは、現在の日本が改善する必要がある現状だから、ということだろう。

 日本では、就業者に占める女性の割合は42・3%だが、管理職に占める女性割合は11・1%でしかない。これはOECD加盟国のほぼ最低水準だ。特に上場企業では、女性管理職比率は4・9%(内閣府の調査データを日本経済新聞社が分析した結果)である。女性の就業年数を考慮しても、募集・採用、配置・昇進、教育訓練などにおいて、(無意識なものも含めて)差別があったと考えさせるに十分な数字だと思われる。

 国連から是正勧告を受け、諸外国からは圧力がかかっている。企業がグローバル展開を進めるためにも無視できない問題なのだ。

 業界特性で女性登用は難しいとの声もある。しかし、同業界の海外法人では女性管理職がふつうに働いているという実態がないだろうか。男性に対する逆差別だとの意見もある。既得権を奪われた嫉妬としてはよく分かるが、この論点は憲法解釈上問題なしとの結論が出ている。

 下駄を履かせてまで登用すれば混乱が生じるとの声もある。確かにその通りで、クォータ方式ではないので、実情に合わせた現実的な目標でいいのだろう。

 ただし、私はこういう言い方もしている。「採用時に男性には下駄を履かせているのだから、昇進時に女性にハイヒールを履かせてもいいのでは」と。どのくらいのさじ加減にするかは各社の判断だ。

 内閣府の、女性の活躍「見える化」サイトでは、現在上場企業3552社中1223社が情報を開示し、79社が数値目標を掲げている。今後確実に増えるのではないか。この問題にどう対応するか、各社は判断を迫られている。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。100年弱の歴史を持つ高砂香料工業── まず御社の特徴をお聞かせください。桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える香料の専門メーカーです。基本…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

コエンザイムQ10のCMで知名度向上、売上高1兆円を目指すカネカ--カネカ社長 角倉 護

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年9月号
[特集]
65歳からのハローワーク

  • ・総論 働く上で「年齢」は意味を持たなくなる
  • ・50歳からの15年間の準備が豊かなセカンドライフを保証する
  • ・エグゼクティブのセカンドキャリア最前線
  • ・企業のシニア活用(富士通、ネスレ日本、鹿島)
  • ・副業のすすめ 現役時代の副業は定年以降のパスポート
  • ・島耕作に見るシニアの今後の生き方 弘兼憲史

[Special Interview]

 赤坂祐二(日本航空社長)

 「中長距離LCC事業には挑戦する価値がある」

[NEWS REPORT]

◆社員の3分の1を異動したWOWOWの危機感

◆迷走か、それとも覚醒か B2Cの奇策に出るJDI

◆外国人労働者受け入れ解禁で どうなる日本の労働市場

[特集2]

 開幕まで1年!

 ラグビーワールドカップ2019

ページ上部へ戻る