政治・経済

昨年、前社長による会社経費の私的流用が明るみになり、以来、経営が揺れ続けているアコーディア・ゴルフの株主総会が6月27日に開催された。そこで明らかになったのは、相変わらず煮え切らない経営陣のスタンスだった。 (本誌/大和賢治)

配当性向90%の歪

 上場企業の株主総会が一斉に開催された6月27日。昨年来、トップの不祥事に端を発し経営が混乱、揚げ句の果てには競合のPGMホールディングスから敵対的TOBを仕掛けられるなど、株主の不信感が依然として収束しないアコーディア・ゴルフの総会も都内ホテルで開催された。

 同社総会に出席した株主から総会の様子を詳細に聞き取り、今後、アコーディアは、いかにして経営健全化を図っていくのかを探っていくことにする。

 総会の冒頭、アコーディアの鎌田隆介社長は、TOBこそ不成立に終わったものの、株主には心配や迷惑をかけ、さらにはTOB阻止に多額の費用を費やしたことを詫びたという。

 驚いたのは、同社がTOB阻止に使った費用は何と7億5600万円にも及んだことだ。結局は投資会社レノがアコーディアの高額配当に目を付け20・24%の大株主に躍り出たことでTOBは不成立に終わるのだが、「巨額な費用をどこに何のために支払ったのか分からない」と、この株主は大いに憤る。

 質問に立った株主の中には、「再びTOBを仕掛けられる可能性はある。こんな無駄な金を払うなら、いっそのこと、買収防衛策を定款に盛り込んだほうがよいのではないか」との指摘もあったものの、経営陣は筆頭株主に遠慮してか「予定はない」とそっけない対応に終始したという。

 さらには、配当性向90%を約束したことを問題視する意見も多数あったようだ。

 「最近のアコーディアのゴルフ場は、コースメンテナンスが悪くなっているということが多くの株主から指摘されました。9割配当というのは株主にとって大きな魅力ではありますが、アコーディアの株主の場合、株主であると同時にゴルフプレーヤーでもある人が多いのです。いくら配当が高くても、その反動でメンバーとしてプレーするコースのメンテナンスが悪くなる。つまりは配当を実現するためにコースが犠牲にされるのであれば、まさに本末転倒です。過去にはサントリーオープンも開催されたチャンピオンコースの習志野CCでは、コースメンテナンスの悪さに愛想を尽かしたメンバーの多くが、近隣にあるPGMの総武CCのメンバーとして流出しているという実態もあるのです」(業界関係者)

 確かに総武CCは昨年、クラブハウスを建て替えるなど、PGMはフラッグシップコースの名に恥じぬよう積極投資を行う一方、日本プロゴルフ選手権を誘致するなどメンバーのステータスを維持するために最善の注意を払っている。名ばかりの過去のチャンピオンコースになりつつある習志野CCとはまさに対照的だ。

 話は前後するが、多くの株主が危惧しているアコーディア配当性向90%の背景について触れておく必要があるだろう。

 アコーディアは昨年11月、競合のPGMからTOBを仕掛けられた。PGMはゴルフ人口の減少、客単価も下落し続けるゴルフ場環境を憂慮、大手2社が統合することでスケールメリットを追求し、同時に2社間の価格競争を抑制して、プレーフィーの適正化を進めたいという狙いがあった。

 このPGMの主張は、アコーディア株価の著しい下落傾向に歯止めを掛けられない経営陣に不信感を募らせていた株主の賛同を多数集めた。しかし、これを阻止したいアコーディアは、何と破格の90%配当を掲げた4カ年中期経営計画をぶち上げ、TOBに応じるつもりだった株主の引き留め工作に走ったのだ。なりふり構わない防衛策により、応募を思いとどまった株主が多数いたことは確かだが、半面、この高配当は当然ながらアコーディアの財務体質を蝕むこととなる。

 さらには、高配当に目を付けたレノが大量保有する呼び水にもなった。ファンドの最終目的は、言うまでもなく高値での転売にある。そういう意味では、20・24%も保有されたアコーディア側としては経営の自由度が狭まるのは必至、味方にも敵にもなり得るレノの存在は脅威である。アコーディア株主がどこまでこの前途多難の状況を認識しているかは不明だが、高額配当の実現が、コースメンテナンスへの投資環境を悪化させる危険性をはらんでいることだけは確かだ。

資金調達も赤信号

 もう1つ株主(ゴルフ場会員)が危惧しているのが、同社が掲げるマルチブランド戦略だ。

 同社では、これまで低料金のカジュアルゴルフを提案することでゴルファーの裾野を広げてきたという功績があり、ゴルフ界全体にとっては、喜ばしいことである。しかし、これは一方で、会員制ならではの付加価値の高いサービスを望む会員にとっては不満の温床になっていた。そこで同社では〝統一ブランド〟というこれまでの手法を改め、コースをプレミアムブランドとローコストオペレーションを実施するシンプルなゴルフ場に分けるという。

 これには大きな問題がある。プレミアムコースの会員になれればよいが、同じ会員でありながらローコストオペレーションのゴルフ場にされたのでは冗談どころの騒ぎではない。

 「ゴルフ場のブランド分けの難しさは、既存会員をどう説得するのかにあります。プレミアムコースへの転籍も選択肢でしょうが、すべての会員を納得させることは不可能です。落としどころは預託金(入会金)の返還ですが、それをするにも原資は必要。90%配当でただでさえ疲弊している財務体質で、それが実現できるとは思えません」(前出業界関係者)との指摘もある。

 ある株主は「捨て身の9割配当は撤回し、PGMと経営統合することで経営を健全化してほしい」と心中を語る。経営統合は「時間の問題」という声も聞こえるが、もうしばらくはアコーディアの動向に注目する必要はあるだろう。

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