政治・経済

 今回の成長戦略の目玉の1つが、設備投資を促す数々の政策だ。法人税減税の代わりに、設備投資減税を拡大する可能性が高い。この意図は、ただ減税しても企業は投資に回さないので、需要を増やすために投資した場合だけ減税するという政策だ。とにかく需要を出させろということである。

 しかし、なぜ、そんなに設備投資が重要なのだろう。なぜ、企業に設備投資を無理やりにでもさせなければならないのか。

 ここが、現政権およびこれまでの成長戦略の誤りの源泉だ。これは、過去の成功体験からきている。昭和30年代の日本経済は投資が投資を呼ぶと言われた、異常に好循環の高度成長経済だった。1つの企業が投資をすれば、それは有効需要となり、他の企業が需要増加に対応して投資を増やす。これがまた別の企業の投資を増やし、と循環していく。この中で、資本蓄積が進み、効率的な機械が増えていくから、労働生産性も上がる。賃金も上がり、これが消費を増加させ、需要はさらに増大する。そして投資が進む。最高の好循環で日本経済は面白いように成長したのである。

 今の日本では、これは起きない。なぜなら、高度成長ではないからだ。だから、設備投資ではなく人に投資すべきなのだ。日本は景気が悪いのではなく、成長力が落ちているのが問題なのだから、需要を出すだけでは駄目で、生産力の質を上げる人への投資が必要なのである。

 それにもかかわらず、政治家たちや多くのエコノミストが設備投資減税を支持しているのは、設備投資とはモノの需要であり、モノの需要が出てくればとにかく経済はそれでいいのだと勘違いしているからである。需要のことしか考えていないのが問題なのだ。

 しかし、さらに大きな問題がある。需要の質である。政府の政策に誘導された需要では、それは企業を成長させる需要にはならない。エコポイントで生み出されたテレビの需要、エネルギー買取政策の異常な高値に吸い寄せられた太陽光発電への参入などは、質の悪い需要にひきつけられ、企業の成長は止まってしまうことになる。

 なぜなら、これらは政策についていくだけの生産であり、今後、消費者のニーズをつかみ取り、企業の売り上げを伸ばしていくためのノウハウの確立、今後継続的に顧客に選ばれていく企業となるためのノウハウの蓄積につながらないからである。

 民間投資を誘発する政策といってもそれは同じで、政策依存の企業は成長できないのだ。

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