政治・経済

 内閣府の日本経済の回復シナリオに狂いが生じている。当初は、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減は7月頃から薄れ、景気は回復軌道に戻るとの見方を示していたが、賃金の伸び悩みや夏場の天候不順が追い打ちをかけ、夏場に入っても景気は低空飛行を続けている。年央から景気を上向かせ、安倍晋三首相が年末までに判断する消費税再増税の決定を後押しする考えだったが、大きくアテが外れた格好と言える。

 経済協力開発機構(OECD)は9月15日、2014年の日本の実質経済成長率を5月の1・2%から0・9%に下方修正した。消費税増税に伴う需要減が予想以上だったのが主因。それでも内閣府は足元の落ち込みは「想定内」とし、いまだ回復シナリオを変えていない。ただ、夏場の消費関連の統計は、消費税増税直後の4月より悪化するものが目立つなど、想定を上回る回復の遅れとなっているのは紛れもない事実だ。背景にあるのが、物価の上昇に賃金の改善が追い付いていないこと。

 7月の毎月勤労統計調査を見ると物価上昇を織り込んだ1人当たりの現金給与総額は前年同月比1・4%減と13カ月連続で減少した。消費税増税に加えて原料価格の上昇で食料品などの値上げも相次ぐ中、7月の1世帯当たりの消費支出は実質で同5・9%減り、家計防衛の観点から財布のヒモは締まるばかりだ。

 内閣府には消費税増税と前後して打ち出した5・5兆円の経済対策で景気を上向かせ消費税率10%の首相判断を後押しする狙いがあったはず。しかし、現在のところ、そのシナリオは大きく狂っており、甘利明経済再生担当相も「予定通り引き上げるかの判断は相当難しい」と、悩ましい胸の内を吐露している。

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