文化・ライフ

本物のポジティブ思考を手に入れるために、空虚なポジティブ思考を滅する

 物事を前向きに考えるポジティブ思考は、ビジネスパーソンやスポーツ選手に幅広く受け入れられています。ですが、やり方を間違えると逆効果になることが研究で明らかになりました。加ウォータールー大学の研究グループは、被験者に「私は魅力的な人間だ」などとポジティブな発言をしてもらい、心理面への影響を調べました。結果、もともと自信を持っていた人は確かに前向きな気持ちが強化されたのですが、自信がなかった人は逆に気分が落ち込むことが分かったのです。世間では、「前向きな発言をすれば、ネガティブな思考もポジティブに切り替わる」と信じられていますが、どうやらこれは誤解だったようです。

 もっとも、こうした誤解が流布したのは無理からぬことです。これまで多くの研究者が、ビジネスやスポーツの成功者をターゲットに心理のメカニズムを分析し、成功の秘訣を学ぼうとしました。ところが、成功者にはもともと自信家が多く、そんな人たちがポジティブ思考によって自信を深めて成功を手にしていたために、これが万能の法則であるかのような印象を周囲に与えてしまったのです。しかし、自信のない平凡な人が形だけ成功者のマネをしても、むしろ逆効果を生むだけです。自信のない人が前向きな心を手にするには、どうしたらいいのでしょうか。

 米ペンシルベニア大学のグループは、自分自身が本心から納得できる良い点を見つけて意識すると、ストレスに負けない前向きな心に変わることを実証しました。どんなに自信がない人でも、一生懸命に考えれば、長所の1つや2つは見つかるものです。普段は気にも留めない自分の長所をしっかりと意識することで、心をポジティブな状態に変えられるのです。

 自分の心にウソはつけません。実感を伴わない空虚な言葉で心を取り繕っても意味はないのです。だからこそ、前向きになるためには、自分の長所を見つけ出す努力が必要です。自信のない人も、本当は長所がないのではなく、単に長所を思い出しにくくなっているだけで、じっくり考えれば気付かなかった長所が見つかるはずです。こうした努力をすることが本物のポジティブ思考なのです。

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