マネジメント

 「銀行は自分の会社をどう見ているのか」--。

 恐らく、多くの経営者の方が、この点について銀行の「本音」を聞き出したいと望んでおられるはずです。

 ならば、銀行の本音が聞ける好機は果たしていつなのでしょうか。結論から先に言えば、それは、融資審査が通り、銀行側が金銭消費貸借契約書や借入用手形など、融資に必要な書類を用意し、あなたがそれに実印を押した直後にほかなりません。

融資の極意① 銀行員がホッとした瞬間をねらう

 銀行の各支店には営業目標があります。

 その中で特に重要な目標と言えるのが、支店の融資量をどれだけ増大させるかです。要するに、銀行は融資の量を増やしたいのです。

 ですから、無事に融資審査が通り、融資先の社長に実印を押してもらったときは、銀行員もホッとして気が緩みます。そうした頃合いを見計らい、銀行員に「なぜ、うちの会社への融資が通ったのですか」と質問してみてください。その際、銀行員から次のような言葉が発せられるかもしれません。

 

 「御社は財務内容が良いですから、融資の審査が通りやすいんです」

 「御社が融資を受けている5つの銀行の中で、うちの銀行からの融資を最大にしたいんです」

 「御社は、この分野での県内シェアがナンバーワン。そこが本部から評価されているんですよ」

 

 これらの発言は、恐らく銀行の本音に最も近いものです。つまり、銀行内での日頃の会議資料や融資審査の稟議書、もしくは、あなたの会社の分析資料の中で記述されている内容とほぼ等しいと言えるのです。そして、それらの記載が融資審査で活用され、融資審査を通す材料になっているということです。

 さらに、融資の理由を話し始めた銀行員からは、より多くの本音を引き出すよう心掛けてください。

 私は銀行員時代、営業を担当した企業から融資の申し込みがあり、稟議書を書き、融資審査を通過しても、契約書に実印をもらうまでは安心できませんでした。

 銀行の営業マン(得意先係)は、営業目標を達成してこそ評価されます。苦労して融資審査を通しても、土壇場で社長に「今回の融資はいらなくなりました」と言われれば、それまでの努力は水の泡。一切の評価は得られません。

 ですから、銀行員は、融資の契約書に実印をもらうまでは気が抜けず、逆に、実印をもらい、契約書の預かり証を渡したときに大きな安堵感を得ます。そんなとき、銀行員の口はおのずと軽くなり、問い掛けに応じてさまざまな本音を語るようになります。したがって、あなたの会社に対する誉め言葉のみならず、改善すべき点などについても聞いておき、のちの経営に生かすことが大切なのです。

融資の極意② 銀行員の口が重くなるとき

 一方、融資審査が通らず、融資を断られた場合でも、融資を申し込んだ側の企業は、その本当の理由を知りたいところでしょう。

 ただし、企業に赴き、融資の断りを入れる作業は、銀行員にとってつらい仕事です。大抵の場合、審査不通過の事実だけを伝え、一刻も早くその場を立ち去りたいと考えます。

 例えば、私は銀行員時代、融資の断りを伝えたときに、それまでニコニコしていた経営者から「今まで渡した書類をすべて返せ」といきなり怒鳴られたことがあります。どの銀行員もこうした苦い経験を積んでおり、融資の断りを入れるときは、常に慎重な発言を心掛けています。ですから、あなたが審査不通過の詳しい理由を聞きたいと望んでも、銀行員は、「総合的に判断して」といった、通り一遍の理由しか口にしようとしません。なぜならば、本当の理由を話すと、企業の抵抗を受けるおそれがあるからです。

 例えば、銀行員が「御社の財務内容が芳しくないためです」と言ったとしましょう。この場合、企業から「前期は確かに赤字でしたが、今期は黒字に回復します。将来を見てもらえませんか」と切り返されることが間々あります。また、気の短い経営者であれば、「おたくは決算書でしかうちのことを判断できないのか」と責め立てるかもしれません。そんな状況に陥るのを避けるために、銀行員は、融資審査不通過の理由を詳しく語ろうとしないのです。

融資の極意③ 本音をとらえる大切さ

 いずれにせよ、自社に対する銀行の評価を正しくとらえることで、自社のどの部分のアピールが足りないのか明確になるはずです。その部分を銀行に分かりやすく伝えていくことで、あなたの会社に対する銀行側の理解は深まります。結果、今後の融資審査もより通りやすくなるのです。

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