政治・経済

 通信サービスのトラブルに対する消費者保護策を検討している総務省の作業部会が9月18日の会合でまとめた報告書案は、前回この欄で取り上げたとおり、業界の強い抵抗であえなく内容が大きく後退した。

 焦点となっていたスマートフォンの購入・契約直後の解約については、店舗で購入済みの端末は解約後の返品・返金の制度化は見送られた。コンテンツ(情報の内容)やデータ通信サービスなどは違約金なく解約できるが、数万円に上る端末代金は支払いを求められることになり、端末とサービスを一体化して販売している現状を無視したちぐはぐな内容となった。作業部会が7月にまとめた中間報告では、消費者は回線契約の解約とともに端末も無条件で返品できるとする内容を提示していた。しかし、販売店や通信事業者からの強い反論を受け、消費者保護政策が大きく後退することになった。総務省は来年の通常国会に電気通信事業法など関連制度の改正案を提出したい考えだが、反対していたはずの通信事業者からも、新たなトラブルを招きかねないと懸念の声が出ている。

 総務省が増加傾向にあるスマホ販売のトラブル回避に向けて打ち出した消費者保護政策の後退を余儀なくされたのは、販売店業界や通信業界の予想外の抵抗の強さだった。販売店業界は総務省の政務三役をはじめ自民党関係者に陳情攻勢をかけて、店舗販売をクーリングオフの対象から外すよう要望。とりわけ、端末の返品については「返品・返金制度を乱用される恐れがある」「返品された端末は再販売できず、販売店の経営に与える影響が大きい」などと除外するよう強く懇願した。

 作業部会の構成委員からは「通信会社や販売店は端末が実質0円であることをアピールして販売しているのに、解約後に高額の端末代金を請求するのは消費者保護に反する」などと反論が相次ぎ、消費者団体や弁護士の委員からは「(特定の通信サービスしか利用できないようロックしている)SIMロック端末は、解約後に消費者が販売店に返品でき、販売店はこれに応じて返金するよう義務付けるべきだ」との指摘もあった。業界側は「契約前に電波状況などを確認できるお試しサービスやトラブル時の相談窓口の一本化など自主的取り組みを強化する」と表明したが、報告書では、自主的取り組みの効果を注視するとしており、実効がなければ、端末返品も含めた規制の強化を示唆している。しかし、具体策は先送りになっており、iPhone新モデルの販売で活況を呈するスマートフォン市場に波紋が広がる可能性もある。

 
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