国際

国連・気候変動サミットに合わせ大規模なデモ

 9月21日、ニューヨーク・マンハッタンで、全米から集結した約31万1千人もの米国市民が、気候変動の早急な解決を訴えるデモを行った。23日に行われた国連・気候変動サミットに集まる約100カ国の首脳へメッセージを送るためで、地球温暖化問題への取り組みでノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア元副大統領や潘基文・国連事務総長、さらにはハリウッドスターのレオナルド・ディカプリオ氏まで参加した。

環境保護のデモとしては米国では過去最大規模

環境保護のデモとしては米国では過去最大規模。多くの若者が参加した(撮影/筆者)

 地球環境の保護を訴えるためのデモとしては、米国では過去最大の規模。19世紀から活動している環境保護団体シエラクラブ、若者に人気の非政府団体(NGO)350・orgなどが呼び掛け、米国内だけで約1500団体が参加。米国だけでなく、同じ日に世界中で行われたデモやイベントの数は、166カ国で2800以上に上った。

 また、主催団体の1つ、政策提言団体Avaazはデモの当日、「今までで一番重要な署名」として、世界の首脳に二酸化炭素排出を最終的にゼロにすることを訴える署名運動で、210万人を超えるオンライン署名を集めたと発表した。

 デモ当日は、昼前から始まるデモの進路に、プラカードを持ち、巨大な地球の風船や山車などを押す市民が朝から続々と集まった。また、全米各地の団体や学校、教会がチャーターしたリムジンバス約3千台がニューヨークに集結。当初、10万人と予想されていた参加者は、あっという間に進路全体を埋め尽くし、度々デモは先がつかえて動かなくなるほどだった。

デモの中心は地球温暖化への危機感が強い若者たち 

 通常のデモでは白髪頭の団塊世代が多く集まるものだが、今回は全米から多数の若者が駆け付け、この日のデモを盛り上げた。賃金の引き上げなど雇用や権利を主張する「大人の問題」のデモよりも、将来にわたりきれいな空気や水、森林の確保を訴え、地球の存続を願うデモのほうが若い世代には分かりやすかったのだろう。

 ジェイコブ・シーハン君(15歳)は、デラウェア州から家族8人でバンで駆け付け、前の晩、ニューヨークで1泊した。

 「僕は石油の利用が一番気になっている。地球温暖化につながり、僕や兄弟姉妹が住む環境が破壊されていくのを見るのは嫌だ」と話す。

 気候変動サミットの開催を主導した潘基文国連事務総長も参加したインパクトもあり、オバマ大統領は国連の演説でこう述べた。

 「警鐘は鳴り続けている。われわれの市民はデモを続けている。彼らの声が届かないふりを続けるわけにはいかない」

 また、日本の安倍晋三首相も、「2015年は人類が美しい星へと向かう岐路です。すべての国が参加する枠組みが必要です」と演説で述べ、発展途上国支援として気象や防災の専門家を3年間で1万4千人育成すると約束した。

 23日の気候変動サミットの様子を見る限りでは、デモで市民のメッセージが拡散し、サミットでは各国首脳が、15年に「ポスト京都議定書」となる新たな枠組みづくりに前進しようとする決意を示した。明らかに「うねり」が起きつつある。しかし、難しいのはそのうねりが来年まで維持されるかどうかだ。

 実は、ニューヨークではかつて、今回の気候関連デモを超える規模のデモがあった。今から32年前の1982年6月12日、100万人がニューヨークのセントラルパークに集まり、核兵器廃絶と冷戦の集結を訴えた。これは、米国で過去最大のデモとなり、同パークから遠くないコロンビア大学に当時在籍していたオバマ大統領も参加したといわれる。

 当時、レーガン政権がソ連との冷戦を理由に核武装を進め、実際に核戦争が起きた場合、核兵器爆発後の煤塵が太陽光を遮り、気温が低下する「核の冬」が訪れると懸念されていた。

 この前後に起きた核関連のデモは、米国で複数の原子力発電所の建設が中止されるという成果をあげた。一方で、核兵器の削減については、米国とロシアが核弾頭の削減を実施したものの、ほかの国には広がらないままでいる。

 現在は核の冬ではなく、「地球温暖化」に挑む世界の市民と指導者らだが、世界的に温暖化防止に動き出すまで、どれほどの会議が行われ、どのくらい時間がかかるのかは不透明だ。

 また、結果として阻止された核の冬と異なり、地球温暖化は現在も進行しており、気候変動による災害は広がるばかりだ。「時間との闘い」という敵も、世界の市民と指導者の前に立ちはだかっている。

 

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