政治・経済

 黒田新日銀総裁は、「異次元」の量的・質的金融緩和を発表した。異次元に誤った政策だった。

 すべての措置を盛り込んだ緩和政策だったが、要は、異常な量の国債を買いまくるという政策である。40年満期のものまで含めて、政府が発行する国債の7割を買うということだ。

 これは、誰もが予想できるように、国債市場を大混乱に陥れた。今後、国債が買えなくなる、と思った金融機関が慌てて買い、それを狙ってヘッジファンドなどが先回りして買った。一方、今後、国債市場が大混乱すると予想され、しかも今は価格が急騰しているなら、国債投資から撤退するチャンスだと他に運用手段のある金融機関は売った。そういう噂を流して、売ったヘッジファンドもあった。

 この結果、国債市場は乱高下の大混乱となった。政策発表の翌日、4月5日は、10年物で0・3%から0・6%への乱高下が起き、その後も1週間あまりの間に、異常な値動きに対して発動されるサーキットブレーカー(一時的な取引停止措置)が5回も発動した。前代未聞である。

 この混乱は、ますます、まともな国債の運用者を国債市場から追い出す。変動はリスクであるから、為替ヘッジして外債で運用したほうがましになる。一方、混乱を好む投機家は、大量に参入してきた。

 慌てた日銀は、沈静化するために買い入れを事前通告し、大幅に値下がりした5年物の国債を重点的に買うなどした。この動きに乗じ、先回りして日銀に売りつけて儲けた投機家もいた。

 これはまさに、バブルの最終局面の暴騰後、乱高下という典型的な様相を呈している。そう、黒田日銀の異次元の金融緩和は、国債バブルをついに破裂させることとなったのだ。

 黒田氏は、国債市場を破壊したいのか。なぜ、こんな失策をあえて行ったのか。一説には、ポートフォリオ効果を狙ったものといわれる。国債から金融機関を追い出し、国債市場から引き上げた資金で融資を増やし、株を買い、外債を買うことを促していると。しかし、融資余地があるならとっくにしている。株式投資には限度がある。よって為替ヘッジして外債ということになるのだが、それは別名、円安効果を持たないキャピタルフライト、資本逃避だ。

 なぜ、あえて日本金融市場を破壊しようとするのか。全く理解できない。

 ネガティブな効果しか持たない大胆な金融政策。別名ハイパーハイリスクネガティブリターンのギャンブルの始まりだ。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

バーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できる画期的サービス「cluster」を生み出したのは、元引きこもりのオタク青年だった。エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びる経営者、加藤直人氏の人物像と「cluster」の展望を探る。(取材・文=吉田浩)加藤直人・…

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年1月号
[特集]
平成の事件簿

  • ・[イトマン事件]闇勢力に銀行が食い荒らされた戦後最大の経済事件
  • ・[ダイエー、産業再生機構入り]一代で栄枯盛衰を体現した日本の流通王・中内 功の信念
  • ・[ライブドアショック]一大社会現象を起こしたホリエモンの功罪
  • ・[日本航空経営破綻]親方日の丸航空会社の破綻と再生の物語

[Special Interview]

 高橋和夫(東京急行電鉄社長)

 「100周年に向けて、オンリーワン企業の強みを磨き続ける」

[NEWS REPORT]

◆かつてのライバル対決 明暗分けたパナとソニー

◆経営陣に強い危機感 富士通が異例の構造改革断行

◆売上高1兆円が見えた ミネベアミツミがユーシンを統合

◆前門の貿易戦争、後門の技術革新 好決算でも喜べない自動車各社

[特集2]経営に生かすAI

 「人工知能は『お弟子さん』
日常生活が作品になるということ」
落合陽一(筑波大学准教授)

ページ上部へ戻る