政治・経済

 電子機器の製造、販売を手掛けるワコムは、世界のペンタブレット市場で80%以上のシェアを誇る。躍進の要因と、中期経営計画で掲げる2016年3月期決算までの連結売上高1200億円以上の達成への取り組みを山田正彦社長に尋ねた。

山田正彦(ワコム社長)

山田正彦(ワコム社長)

サムスンとの協業が業績好調の一因に

―― 13年3月期決算では大幅な増収増益となりましたが。

山田 売上高は前期比50・0%増の610億6800万円、営業利益が94・6%増の79億1500万円を計上しました。  全体では、スマートフォンやタブレット端末といった部品の開発・販売を手掛けるコンポーネント事業が業績に寄与しています。プロのクリエイターや消費者向けに自社製品を提供するブランド製品事業との両輪で、成長し続けたいと考えています。

―― コンポーネント事業が好調だった理由は。

山田 韓国の総合家電最大手、サムスン電子とのパートナーシップが要因の1つに挙げられます。当社はサムスン電子製のスマートフォン「GALAXY Note」シリーズなどに電子ペン技術を提供しています。今年1月にはサムスン電子との資本業務提携を発表、5%の出資を受けました。中長期的な視野に基づく、非常に高いレベルでの協力関係を構築できたと認識しています。お互いの成長のためのロードマップを確認し、優れた技術をできるだけ早く世の中に出していく計画です。

―― サムスン電子以外の企業との協業はどのように進めていきますか。

山田 製品を市場に普及させるため、スマートフォン市場でトップシェアを誇るサムスンのように、最もシナジーが期待できる企業とタッグを組んでいきたいと思います。具体的には、マイクロソフトのオペレーティングシステム「Windows」搭載商品向けにより一層製品を供給していきたいですね。

 それから、今後われわれが商機を見いだしているのは電子書籍端末です。携帯電話、タブレット端末、電子書籍端末とそれぞれのカテゴリーでペンの導入を進めて、業績の成長スピードを今まで以上に加速させます。

―― これまで貴社の業績が拡大してきた要因について。

山田 1990年代後半に自前の生産設備を持たないファブレス化への転換を果たしています。現在、自社では中核技術に関連した生産に特化し、外部生産比率は90%を超えました。海外各国のパートナー企業に下流工程を委託して、技術開発と市場開拓に経営資源を集中させる体制を構築しています。

 ファブレス化の利点は、複数のパートナー企業が持つノウハウを組み合わせて、多様化する顧客ニーズに迅速に対応できる点です。自社工場だけの生産体制だったら、品質とスピードへの要求水準が極めて高いサムスンとパートナーシップを結ぶことはできなかったでしょう。

 それだけに、パートナー企業にはグローバル市場の変化に対応できるだけのスピードと柔軟性を求めています。現在、パートナー企業はブランド製品事業で10社、コンポーネント事業で3社の計13社。パートナー同士の競争を促してコスト低減と品質向上を図っています。

ページ:

1

2

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年12月号
[特集] 沸騰する食ビジネス!!
  • ・食ビジネスが熱い!! 未来型食品が社会課題を解決する
  • ・市場規模70兆円! 食ビジネスが過熱するわけ
  • ・完全バランス栄養食で誰もがラクして健康になれる
  • ・人工光型植物工場で世界の食と農に新しい常識を
  • ・宇宙食ビジネスで勝ちに行く 10年後に5千億円市場創出へ
  • ・“大人の給食”で栄養の基盤をつくる
  • ・人工肉で糖質制限者に無制限のおいしさを
  • ・テクノロジーで高品質なジビエ調達が可能に
  • ・昆虫食ビジネスの時代到来
[Special Interview]

 伊藤秀二(カルビー社長)

 掘り出そうカルビーの未来

[NEWS REPORT]

◆エンジニアへの高額給与で 富士通は生まれ変われるか

◆豊田章男・自工会会長が挑む東京モーターショー100万人

◆消費増税で現金主義は終焉 キャッシュレス時代が到来した

◆加速するeスポーツ市場! インテルが東京で世界大会を開催

[総力特集]

経済界創刊55周年記念 新しい日本のかたち

東京1964からの55年と東京2020以降の日本の姿

ページ上部へ戻る