政治・経済

 日銀の人事の話は、私だけでなく読者の方も、もう飽き飽きだろうが、最後に一言。

 日銀の総裁や副総裁の人選を、官邸にせよ国会にせよ、政治家たちが選ぶというのは実はおかしいのではないか。

 学者としての能力、中央銀行という特殊な組織のトップの能力、セントラルバンカーとして世界の国際金融サークルで、個人として活躍する能力。これらを政治家が評価し、人選することなどできるだろうか。

 無理である。今回の人事の結果については、とやかく言わないが、プロセスとしては、本来は内閣の指名により日本銀行審議委員等人事委員会を構成し、彼らが推薦する候補者を内閣で承認し、それを国会に提出するのが妥当であり、最も自然ではないか。

 WBC、ワールドベースボールクラシックの選抜メンバーをJOC、日本オリンピック委員会の会長が選ぶわけではない。監督が選ぶのだ。その監督は、首相が選ぶわけでもテレビや新聞社の社長が選ぶわけでもない。それは専門家中の専門家に選ばせるのが一番いい。

 日銀総裁も副総裁も同じことだ。官邸はインフォーマルに有識者に聞いたはずだが、本当の有識者が本当の金融政策のプロを選んだとは思えない結果であるし、その過程の議論も、明らかにプロフェッショナルが選んでいない議論である。

 なぜ、専門家に任せないのか。1つには、経済学のレベルの低さ、経済学者のレベルの低さがあるだろう。戦闘機を作るのに、専門家に任せない人はいないし、iPS細胞を素人には作らせないはずだ。コンピューターの予算の適否を政治家が決めるのもおかしいし、ノーベル賞を取ったという理由で、急に予算が何倍にもなるのもおかしい。

 専門家への敬意を失った日本への絶望は前回述べた。今回は、専門家の側にも要因があるという別の絶望を述べたい。専門家にしか専門家の目利きはできないのに、なぜ専門家に目利きをさせないのかというと、専門家が目利きの重要性を理解していないのだ。そして、そもそも目利きということの重要性を日本は認識していない。

 実は、日本で金融産業が突き抜けて発展しない理由はそこにある。金融とは目利きである。さらに、目利きを軽んじるから、海外進出で真に成功できず、国内でも世界でも、日本人の枠組みから離れられない。

 目利きをなぜ日本人は軽視する のか。その謎を解かないと、グローバル経済における日本の発展はない。

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