政治・経済

 多くの政治家、政党が日銀批判をしているが、経済的な議論の前に、政治的センスを疑う。これまで、日銀を批判して成功した政治家、政党はいない。理由は簡単で、自分で何もせず、他人のせいにしているだけだからだ。

 米国大統領選でも、相手候補者を非難するようなテレビCMを打つと、批判する側の人格問題としてわが身へ返ってくることが多い。大統領選では相手を直接叩けるが、わが国の日銀批判は、叩いた相手の評判を落とすことによって利を得るわけでもないから、ますます意味が無く、自滅することになる。多くの政党や政治家がそういうスタンスだから、政治家全体への無責任、人任せイメージが増すだけで、政治の不能に対する諦念感が強まるだけに終わる。大統領選も、ネガティブキャンペーンで共倒れに終わることもあるから、似ている面もある。

 しかし、日銀批判は、実体経済をも悪くするから、悪影響は広く長く残る。中央銀行が信用できないと、ほとんどすべての政治家が言えば、国内的にも国際的にも、信頼がなくなるだろう。信用そのものを供与している日本経済、日本金融市場の大本が信用できないとなれば、日本経済は終わりだ。これでは目先の円安で喜んでいる場合ではない。

 ある特定の総裁が駄目だということではなく、日銀そのものが信用できず、日銀法を改正しなければならない、となれば、改正までは、全く信用できない組織に金融をゆだねていることになり、日本売りとなる。だから、円安、国債下落となり、銀行破綻となり、日本経済が崩壊するシナリオへ突き進むことになる。

 仮に、中央銀行の政策が物足りないと思っても、それは、野球の監督からしたら、実力はあるのに、やる気が足りないピッチャーにすぎない。この選手は信用できないと批判しても始まらず、やる気を出させるために、お互い信用関係を築き、彼を働かせるように努力するべきだ。彼の悪口をメディアに言いふらすことでは解決しない。どうしても駄目なら次のシーズンには別のエースを採用するだけのことで、日銀なら総裁人事で良い人を選べばいいだけのことだ。ファンやメディアから球団の体質そのものに疑念を抱かれるようなことを広めるべきではない。

 政治家が金融オンチなだけでなく、政治オンチになったのには、メディアや学者にも責任がある。まともな議論を真摯に続けて誤った奇抜な経済政策や間違った世論の動向に振り回されない環境を整える必要がある。私も責任を感じる。

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