政治・経済

民間企業が都市開発事業に踏み切れるよう規制緩和

 

 今日、日本の国際競争力の低下が懸念されており、今一度、アジアにおける存在感を取り戻すべき局面にあります。国際企業に日本で拠点を設置してもらうために、まずは国際的なビジネス環境や生活環境を整備しなければなりません。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定や国家戦略特区などは、民間都市開発を誘発する好材料だと考えています。

 都市再生は、資金も時間も掛かり、地元地権者などをまとめるにも、大きな負担がある事業です。民間企業が都市再生事業に踏み切りやすい環境を作るため、02年に都市再生特別措置法が施行され、国土交通省も支援措置を講じています。

 この中で都市再生を重点的に行う地域として「都市再生緊急整備地域」を全国62地域、政令で指定しています。中でも、国際競争力強化を図る方針にある11地域を特定都市再生緊急整備地域に指定しています。指定地域で都市再生する民間企業は、容積率の緩和、税制特例、金融支援を受けられる対象となります。

 規制緩和する代わりに公共的な貢献が民間企業に求められます。例えば、広場や通路の整備、災害時の避難場所の設置などを行うことで規制緩和が受けられます。加えて今年度からは、特定都市再生緊急整備地域で開発を行う際に、外国語対応の医療、子育て、教育施設を整備した場合に金融支援の限度額を引き上げる支援強化を行いました。

 これまで70の認定民間都市再生事業計画で3兆円が投資されましたが、8兆円の経済波及効果があったとされます。しかし、これらの開発事業に対するハード面での支援だけでなく、今後はソフト面での支援が必要になってきていると言えます。

 

民間企業が開発しやすく国際企業を呼び込みやすい環境づくり

 

 国土交通省では今年度より、国際的なビジネス、生活環境を形成するための支援を始めました。例えば、路上など公共空間における外国語情報板の設置、ウェブサイトによる地域情報の外国語での発信などがあります。

 大きな特徴はシティセールスへの支援です。これは、国際会議や国内外でのプレゼンテーションの場で都市の特徴をアピールし、国際企業などを呼び込む取り組みに国土交通省が財政支援をするというものです。ただし個別の企業に対しての支援ではなく、都や区、民間企業などが協議会をつくった場合に限られます。丸の内や渋谷など地区ごとに売り込み方は違います。地区単位で、官民連携でPRする契機になればと考えています。

 シティセールスは海外では多くみられ、日本の大都市もアジアにおける存在感を上げるために必要な取り組みと考えています。ライバルは海外にあります。国土交通省都市局まちづくり推進課としてはハード、ソフトの両面から支援制度をつくることで、民間企業が開発しやすく、国際企業を呼び込みやすい環境づくりを今後も進めます。(談)

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年12月号
[特集] 沸騰する食ビジネス!!
  • ・食ビジネスが熱い!! 未来型食品が社会課題を解決する
  • ・市場規模70兆円! 食ビジネスが過熱するわけ
  • ・完全バランス栄養食で誰もがラクして健康になれる
  • ・人工光型植物工場で世界の食と農に新しい常識を
  • ・宇宙食ビジネスで勝ちに行く 10年後に5千億円市場創出へ
  • ・“大人の給食”で栄養の基盤をつくる
  • ・人工肉で糖質制限者に無制限のおいしさを
  • ・テクノロジーで高品質なジビエ調達が可能に
  • ・昆虫食ビジネスの時代到来
[Special Interview]

 伊藤秀二(カルビー社長)

 掘り出そうカルビーの未来

[NEWS REPORT]

◆エンジニアへの高額給与で 富士通は生まれ変われるか

◆豊田章男・自工会会長が挑む東京モーターショー100万人

◆消費増税で現金主義は終焉 キャッシュレス時代が到来した

◆加速するeスポーツ市場! インテルが東京で世界大会を開催

[総力特集]

経済界創刊55周年記念 新しい日本のかたち

東京1964からの55年と東京2020以降の日本の姿

ページ上部へ戻る