政治・経済

サービス業の人財教育は不十分だといわれてれる。そんな中、ホスピタリティ&グローイング・ジャパンはサービス業に特化したビジネススクール「グローイング・アカデミー」を運営。同事業について、有本均社長に話を聞いた。 (聞き手・本誌/村田晋一郎)

サービス業に特化した定額制研修を提供

―― 教室が盛況ですね。

有本 当社は、「グローイング・アカデミー」というサービス事業に特化した定額制の研修を行うビジネススクールを運営しています。飲食・小売・理美容・ホテルなど、サービス業の企業を対象に、登録人数200人以内であれば1カ月間で何人が何回受講しても5万円の定額というのがわれわれのビジネスモデルです。1講座は基本的に3時間で、毎日10時、14時、18時から授業を行っています。1日3~6講座を毎日配置しており、講座の種類はトータルで100講座あります。

 5月だけで1300人の方が来て勉強されています。昨年4月のスタートから1年間で延べ6千~7千人が来ていることになります。

―― この事業を始めた経緯は。

有本 もともとは私が笠井大祐・BCホールディングス社長と話をしたのが、この会社を始めるきっかけでした。笠井社長は、「家賃の適正化」を掲げ、ビズキューブ・コンサルティングを大きくされてきましたが、いろいろな経営者と話をしていく中で、「人の教育に困っていない会社はない」ということに気づかれたそうです。ところが、サービス業の会社には、人の教育が大切だと分かっていても、例えばやり方が分からないとか、やる時間がないとか、あるいはお金がないとか、教える人がいないとか、いろいろな障害があります。特に中小企業をはじめ、きちんとした人財教育をされている会社は非常に少ない。そこで笠井社長と私の間で、サービス業に特化した、それもリーズナブルな価格で研修を受けられる会社をつくりたいという話になり、当社を立ち上げました。

 サービス業に特化したところが、われわれの一番のポイントです。いろいろな研修会社やコンサルはありますが、サービス業の現場が分かっていない人たちが講師になるケースが多いです。現場で働いている人たちから見ると、全然ピンとこないという状況があると思います。われわれはそこにしっかりと着目して、現場に強い講師、現場経験のある講師を揃えています。

 私自身は、大学1年生の時からアルバイトを始め、ずっとサービス業で育って、現場に近いところで働いてきました。特にマクドナルド、ユニクロという2つの会社の教育の責任者をやらせてもらった経験があります。それをサービス業界全体の発展のために生かさないのはもったいないですし、お世話になったサービス業全体に対して恩返ししたい気持ちもあります。

 それからサービス業で働く人たちのステータスはそんなに高くないと思っています。われわれがサービス業界の人たちをしっかり教育し、その人たちがスキルや知識、リーダーシップを身に付けていくことによって周りからの見方が変わり、サービス業が発展することによって給料やステータスも上がっていくのではないかという考えで、この会社をやっています。

―― リーズナブルな価格かつ定額制は大きなポイントですが、収益を上げる仕組みは。

有本 まず全員に受けていただいて、サービス業界を変えたいという思いがあります。1店舗しかない会社でも、頑張れば払える価格設定にしたいというのが、そもそもの思いです。それでまず安価にしました。

 コストについて、具体的な話をすると人件費と家賃、つまり講師代と場所代です。入会企業の数さえしっかり集まれば、黒字を出せるビジネスモデルになっています。

 また、われわれの講師は、サービス業界でしっかり経験を積んできた、一流と言われるような講師がほとんどですが、普段その方々がほかでお仕事を受けている金額よりもはるかに低い金額でわれわれの仕事を引き受けていただいています。その理由は、サービス業界を変えていきたいという理念にご賛同いただいているからです。ぜひ一緒にやりたいという講師の方々に集まっていただいていますので、講師人件費という意味ではコストを抑えられています。

体験学習で実感させる主眼の講座を展開

―― 講座について、1コマ3時間は長い気もしますが。

有本 われわれの講座はロールプレーやディスカッション、ゲームなど体験学習が中心で90分では足りません。そこで途中に休憩を挟む形で90分を2回合わせて、ロールプレーやディスカッションを数回できるようにしています。

 講師の方から一方的に何かを話す時間は長くても15分までで、ゲームをしたり、ディスカッションをしたりという形で、気づかせる学習の方法を取ります。正解を教えて、覚えて帰れというのではなく、感じさせたり気づかせたりして、実感させるところに主眼をおいています。

 また、授業も島形式でみんなが向き合って話しながら行います。この時の島は全員が違う会社の人で構成しますので、それぞれが会社を代表することになり、非常に緊張感があります。馴れ合いにならないことが、研修の効果をすごく高めています。

―― 実際の効果がどうなのでしょうか。

有本 売り上げが上がったと実際に営業のデータをいただいているところもあります。すぐに結果が出てくるのは、アルバイトが辞めなくなり離職率が大分下がりましたという報告です。お客さまに褒められたりする回数が増えたことから、次は売り上げの増加につながっていく感じです。受講者の人が変わったとか、行動が変わったという報告はほぼ毎日いただいています。

―― 今後の展開は。

有本 3年計画で3年後に売上高10億円という目標を立てています。それから計画の1つですが、9月に大阪に教室を開校します。大阪開校に際しては、同時中継のウェブ会議システムを一部で導入し、われわれの講座の特徴であるディスカッションやロールプレーを同時に体感できるようにする予定です。

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