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テロ防止のためなら通信傍受やむなしと考える米市民も

全米ライフル協会のメンバーである議員に対し、反対の声を上げるニューヨーク市民(撮影:津山恵子)

全米ライフル協会のメンバーである議員に対し、反対の声を上げるニューヨーク市民(撮影:津山恵子)

 オバマ大統領にとってはこのところ、支持率を上げられるようなグッドニュースがなさそうだ。

 米国の情報機関が、米市民の電話の通話記録やメールのデータを、秘密に収集していたプロジェクトが6月7日、英紙ガーディアンにすっぱ抜かれた。プロジェクトのコードネームは「プリズム(PRISM)」。米国家安全保障局(NSA)の活動に詳しい関係筋などの話として、米情報機関は、米市民のほぼすべての通話の情報を一網打尽に入手している。その中には、クレジットカードの情報も含まれている。

 同時に、米紙ワシントン・ポストによると、グーグル、アップル、マイクロソフト、ヤフーなど、トラフィックが多いオンラインサービスを行う9社についても、情報機関が利用者の情報を監視。ビデオ通話やメール、ログイン記録、文書などを抽出し、海外からのアクセスを分析している。この報道には、オンラインで同社が入手した当局の説明資料までがそのまま掲載され、それはまさに、企業のプレゼン資料のような感じで、市民に衝撃を与えた。

 当局側は、通話記録の内容を閲覧するのは、米国に対するテロと関連する可能性がある場合だけで、さらに判事の許可が必要としている。

 オバマ大統領は記者会見を開き、「誰もあなたがたの通話内容は傍受していない」と強調。7日から始まった週末、テレビなどが「傍受スキャンダル」として報じ騒ぎ立てたため、米市民に冷静になるように呼び掛けた。

 ワシントン・ポストが行った世論調査によると、回答者の45%がテロの防止につながるのであれば当局のモニターは「容認する」とした。しかし、52%の回答者がデータ収集はあってはならないとしている。

 また、8日になって、ガーディアンなど報道機関にプリズムの文書を持ち込み、不正を通報した元中央情報局(CIA)の秘密工作員、エドワード・スノーデン氏(29歳)が、香港でテレビインタビューを受けて名乗り出た。同氏は、年俸20万㌦という高給取りの生活を捨て、

 「喜んですべてを犠牲にする。米政府が世界中の人々のプライバシーやインターネットの自由、基本的人権などを侵害するのを認めることは、良心が許さないからだ」と述べた。

 これに対し、米情報機関を統括するジェームズ・クラッパー国家情報長官は、「多大かつ甚大な被害」として、スノーデン氏を情報漏洩容疑で捜査する方針を示している。4

政権が抱える課題に加え米経済も見通しが明るくない

 今回の事件は、スノーデン氏が指摘するように、国家が言論の自由を侵害している可能性があるとして、大問題となった。しかし、実に半分近い45%の人が容認するように、テロに対して、多くの米国人は最大の「脅威」と感じており、国家による傍受は仕方がないという見方もある。

 このほか、5月には、米内国歳入庁(IRS)が、保守強硬派団体「ティーパーティー(茶会党)」など保守派の団体に対して、不適切な税務審査を行ったという疑惑が浮上。共和党が、税務審査は「狙い撃ち」と激しく反発し、オバマ大統領が、IRSの幹部2人を更迭するという事態にまで発展した。

 オバマ大統領は即座に記者会見し、IRSは、「完全に中立した立場で行動すべきであり、政権は税務審査問題を是正する方針だ」と語った。

 事態を収拾するための一連の措置は、野党対策という見方もあったが、幹部の更迭は、実際に不適切な措置がIRSにあったことを認めたことになる。これはオバマ政権側の減点につながった。

 さらにこの前には、オバマ政権が最重要課題としていた銃規制強化法案が頓挫した。上院が与野党攻防の末まとめた法案が、否決され、廃案となった。その目玉は、銃規制に反対する市民までもが支持していた、「銃の売買時の身元調査の強化」だっただけに、ダメージは大きい。

 これで完全に銃規制強化の政策が実現する機会がなくなったわけではない。再び連邦議会議員が法案をまとめ、投票に持ち込むように、オバマ大統領を支持するボランティア団体やオバマ政権は世論を盛り上げようとはしている。しかし、当初、法案をとりまとめていた今年4月頃のモメンタムを再び取り戻すのは困難にみえる。

 同時に、米国も日本も株式市場が荒れている。米連邦準備制度理事会(FRB)が行ってきた金融緩和が縮減するという見方が浮上しているためで、米国の景気回復速度について、市場が不安視している表れだ。オバマ政権が抱える課題に加えて、米経済も見通しが明るいわけではない。

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