マネジメント

人材育成の極意①〝チャレンジ〟の本質を理解させる

 経験の浅い社員に大きな仕事を任せる、もしくは大きなテーマを与えるのは、その社員にとっても、また、会社で有能な人材を育てたいと考える経営者にとっても、必要な〝チャレンジ〟です。

 もちろん顧客の信用を落とすとか、会社に大損害を与えるといった極端な結果を回避するためのケアは必要でしょうが、基本的には、「チャレンジが人を育てる」というのは経営者に欠かせない発想だと思います。

 ただし、人を育てるという観点で〝チャレンジ〟を考える場合、決して忘れてはいけないのは、そのチャレンジが結果だけを求めるものであってはいけない、ということです。

 例えば、両足飛びができるようになった3歳くらいの子どもに、地面に置いたたくさんの輪の中をジャンプしながらゴールする、というテーマを与えたとします。

 そのとき、「誰が一番早く着くかな?」などと声を掛けると、たいがい置かれた輪はぐちゃぐちゃになります。中には、ほとんどジャンプをせずに、ゴールに向かう子どももいます。

 つまり、子どもたちは、一番早くゴールすることだけにこだわってしまい、肝心のジャンプがおろそかになっているのです。

 けれども、そもそもここで大切なのは、正確にジャンプをすることであり、ゴールはその結果にすぎません。

 まわりにいる大人は、このテーマの本質、つまり、これはジャンプがもっと上手になるための練習なのだ、ということをきちんと教える必要があるのです。

 輪の中に足をいれて次の輪までジャンプすることをきちんと繰り返すのが一番大事なことなのだと丁寧に話してあげれば、子どもたちは、これはジャンプの練習なのだ、ということをちゃんと理解します。

 そして上手にジャンプしようと一生懸命頑張るようになります。そうすると結果的にジャンプは上手になり、次第にスピードも早くなります。

 これは、練習の本質が達成されたことによる、好ましい結果だと言えるでしょう。

 

人材育成の極意②「振り返り」指導が前向きさと自信をつくる

 

 人材育成の場合もこれと同じことが言えます。

 例えば、1カ月で新規契約を5本獲得する、という大きなテーマを与えたとしましょう。

 人材育成という側面から考えるならば、このテーマの本質は、契約を取るための〝自分なりの設計図〟が描けるようになること。つまり、例えば、顧客をリストアップして、アポイントをとり、先方のニーズをヒアリングして、適切な提案をして……という契約に必要な段取りを、どう実行していくかという自分なりのルール作りができるようになることです。

 もちろん、契約5本獲得というのが〝目標〟ですから、それが達成できなかったという事実を本人にきちんと自覚させることは大切です。

 けれども、指導する側は、結果がすべてでは決してない、というスタンスで彼らの〝チャレンジ〟に向き合うことが重要なのです。

 そもそも契約5本獲得という結果だけにコミットした指導というのは、どうしても小手先のテクニックになりがちです。

 そのテクニックによって、確かに一時的な成果は得られるかもしれませんが、それで〝継続的な結果〟を挙げられるという保証はありません。

 自分の強みを生かした、〝自分なりのやり方〟を、本人が見つけてこそ成長であり、その人が本当の意味で、「成果を挙げる」能力を身に付けなければ、チャレンジの意味はないのです。

 ごく一部の極めて優秀な人は、最初から設計図もうまく描き、結果も出すかもしれませんが、最初はなかなかうまくいかない、というケースがほとんどでしょう。

 そこでなにが重要かと言えば、うまくいかなかったという事実よりも、その状況に対してどう対応するか、を学ばせること。つまり、「どうやったらうまくいったのか」という「振り返り」の視点をもたせることです。これは、自分の力のなさを嘆く「反省」ではありません。

 単なる「反省」では、自己否定しかできませんが、「どうすれば、うまくいったのか」という、経験を次に生かす意識づけがしっかりできれば、「次はうまくいく、やりきれる」という自信がつきます。

 この自信によって、次のチャレンジで結果を出すことができれば、それこそが本当の成功体験になります。それによって、その人は確実に次のステップに登ることができるでしょう。

 人を育てる〝チャレンジ〟とは、つまり、成功体験を積み上げるプロセスなのです。

自分なりのやり方を本人が見つけてこそ成長

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