政治・経済

 西武ホールディングスの中長期的な成長戦略の1つが不動産事業の強化だ。同社グループは品川・高輪や赤坂など、都心に優良な保有資産を数多く抱えており、その再開発がグループの今後の成長を牽引する。そして、それはそのまま東京の再成長にもつながると期待されている。

紀尾井町に国際色豊かな複合市街地を形成

紀尾井町プロジェクト完成予想図

紀尾井町プロジェクト完成予想図(西武ホールディングス提供画像)

 西武ホールディングス(西武HD)は、不動産事業を「企業価値向上の鍵」と位置付けており、長期的な事業基盤の確立を図っている。そのため2012年に定めた「アセット戦略」により、グループの保有資産を有効活用し、潜在的な収益力を顕在化する。現在、グループの営業収益に占める不動産事業の割合は約10分の1だが、将来的には相当な比率にまで高めるという。

 西武HDの潜在能力として期待されるのが優良な不動産資産だが、東京23区内だけでも約46万6千平米の土地を有する。代表的なものとして、赤坂地区が約3万平米、高輪・品川地区が約13万平米、芝公園が約8万平米となっている。例えば六本木ヒルズが約9万平米、東京ミッドタウンが約7万平米であることを考えると、西武HDは東京の今後を変えうる潜在能力を有すると言える。

 現在進めている旗艦プロジェクトがグランドプリンスホテル赤坂跡地の開発計画「紀尾井町プロジェクト」だ。従来のグランドプリンスホテル赤坂は11年3月末に閉館したが、再開発にあたり、従来はホテル事業のみに活用していた土地を、事業ポートフォリオを組み換え、オフィス、ホテル、住宅、商業施設から成る複合施設を計画。オフィスや賃貸住宅から安定した賃料を得る仕組みを作る。16年竣工の予定だが、既にオフィス部にはキーテナントとしてヤフーの入居が決まっている。

 同プロジェクトでは、東京都の指定有形文化財である旧李王家東京邸(旧グランドプリンスホテル赤坂旧館)を保存しつつ、オフィス・ホテル・商業施設から成る地上36階の「オフィス・ホテル棟」と賃貸住宅である地上21階の「住宅棟」の2棟を建設。周辺地域は弁慶濠や清水谷公園などの緑が多く、江戸時代以降の歴史性を有する。また、赤坂見附駅および永田町駅に隣接し地下鉄5路線が利用可能で利便性が高い。こうした利点を包括し、国際色豊かな複合市街地を目指すという。

 高輪・品川地区および芝公園は、まだ具体的なプロジェクトがスタートしているわけではない。しかし、後藤高志・西武HD社長は、高輪・品川地区の開発についても、紀尾井町プロジェクトをイメージしているようだ。となると、オフィス、ホテル、商業施設、住居を包括する複合施設となる。高輪・品川地区は、赤坂地区よりも広い土地面積を有するだけに、紀尾井町プロジェクト以上の開発が行われると考えるのが妥当だろう。それだけ大規模な開発になると街を一変させる可能性がある。

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