政治・経済

先送りせずに持続可能な産業にする

 東京都がオリンピックを優先し、舛添要一都知事も慎重論を展開している今、IR建設の機運が高まっているのが地方都市だ。東京の一極集中に反対する声は根強く、東京がオリンピックで集客し、それと合わせて地方のIR施設を利用するというパッケージ売りが理想的という意見もある。

 候補地は横浜、大阪、北海道、長崎などといわれている。長崎県は10月16日に開かれたIR議連の総会に里見晋副知事を送り、法案への期待を述べている。長崎でIR施設を造る場合、有力な候補地となるのはハウステンボスだ。その親会社であるエイチ・アイ・エスの澤田秀雄会長は以前本誌に「国益や地域の利益のためにも東京ではなく地方で行うべき」と語っている。しかし、結局は法案が成立しなければ身動きはとれない。

 オリンピック後にIR建設を進めることになれば、東京の勢いが再び戻ることはあるだろう。と言うのも、舛添都知事はカジノ解禁におけるマイナス面への対策を言及している一方で、東京をアジアのヘッドクオーターへと進化させるために、臨海副都心でのMICE・国際観光拠点形成を推進する。

 IR建設の有力候補地といわれていたお台場はその範疇にある。法案が成立し、ギャンブル依存症やマネーロンダリングの対策が解決すれば、都の態度次第で「お台場」を候補地に推したい在京の企業が事業を進める可能性はある。

 都市政策に携わってきた森記念財団理事、明治大学専門職大学院長の市川宏雄氏は「日本の国際競争力を高めるためにはMICEは必要で、これほどの大規模施設を運営する仕組みとしてMICEとIRをセットで考えることは自然な流れ」と語る。

 「IRをいつ、どこで造るのか」ということが定まらない今、推進派内でも綱引きが続く。議連はIR実施法を作るにあたる基本方針に、「IRは観光振興、地域振興に資する成長戦略のツール」であり、「大都市のみならず地方への設置も検討することが望ましい」としている。

 日本経済の活性化の切り札になり得るIR建設をめぐって国内で足の引っ張り合いしている間に、国際都市間競争で他都市が力を付けてくることもあり得る。カジノビジネスを研究する国際カジノ研究所の木曽崇所長は「オリンピックに照準を合わせて中途半端な施設を造り、持続可能な産業とならなかったら意味はない」と警鐘を鳴らす。

 一方で電通の岡部氏は「目標の期限がなければ、また先送りになる。20年を目標にして1、2年ずれ込む分は仕方がない。とにかく最後の決定力に欠けている」と苦言を呈する。何をつくりたいのか、安倍首相も、産業界も明確に態度を示す時ではないだろうか。

(文=本誌/長谷川 愛)

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