国際

悲観論者が見落とす4つの要因

 先月、ロンドンに出張し、弊社のエコノミスト、ストラテジストと、欧州の経済、株式市場、為替市場について、意見交換した。日本では、欧州経済やユーロに対して悲観色が強い。「欧州がデフレに陥り、日本同様の長期低迷を続ける」と言わんばかりの否定的な論調がある。日本では、「日本はデフレ脱却、欧州はデフレ」という見方もあるが、欧州では、欧州がデフレになるという見解は少数派だ。

 決して、欧州経済やユーロを楽観しているわけではないものの、日本でのイメージほど、実態は悪くない。欧州悲観論者が見落としているものとして、主に、以下の要因が挙げられる。

 第1に、ユーロ圏最大の経済規模を持つドイツの輸出拡大だ。ドイツの経常黒字対GDP比は、2014年に7・3%と高水準だ。経済成長率も、13年の0・2%から14年には1・5%、そして、その後は2%前後の水準が続くだろう。

 ユーロ圏の経済成長率が低下すると、欧州中央銀行(ECB)は金融緩和を実施することが多い。ドイツの長期金利は08年のピーク時に4・7%であったが、14年9月末には0・9%まで低下した。ECBは、今年12月に量的金融緩和を実施すると見られ、ドイツの金利はさらに低下しよう。ユーロ圏の金利低下は、ユーロ下落要因だ。ユーロ/ドル相場は、14年の最高値1・39ドルから最安値1・25ドルまで下落した。ユーロが下落すれば、遅行してドイツの輸出が増え、その結果、ドイツの成長率が高まる。

 第2に、スペイン経済の回復だ。スペインは、00年代の経済成長率が比較的高かったため、リーマン・ショック前の一般政府総債務の対GDP比36%(07年)と、イタリアの103%(ユーロ圏の平均49%)と比較して、かなり低かったので、財政再建のための財政歳出削減の影響が相対的に小さくて済む。その結果、14年の予想経済成長率は1・3%と、イタリアの▲(マイナス)0・4%、フランスの0・4%より高い。その後は、2%前後の成長が続く見込みだ。

 第3に、アイルランド経済の急回復だ。経済成長率は、13年の0・2%から14年には5・5%と大きく上昇し、15年も4・2%と高成長が持続しよう。アイルランド危機の最大の原因は、住宅バブル崩壊に伴う銀行の不良債権問題だった。経営不振に陥った銀行を、政府が公的資金注入で支援したため、政府の財政赤字が急速に拡大した。だが、その後、世界的な金融危機が去り、かつアイルランドの住宅価格が反転し、金融危機と財政危機は急速に回復した。

 第4に、ユーロ圏のインフレ率低下の主因は、エネルギー・食品価格の下落であることだ。8月のユーロ圏のインフレ率は前年同月比0・4%上昇と、11年4月のピーク2・8%から大きく低下した。

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