国際

 しかし、「日本はデフレ脱却、欧州はデフレ」という説には疑問が浮かぶ。エネルギー・食品を除くと、ユーロ圏のインフレ率は0・9%と、日本の0・6%よりも高い。つまり、日本のインフレ率上昇の主因はエネルギー・食品価格の上昇だ。ところが、ユーロ圏ではエネルギー・食品価格の下落がインフレ率を押し下げている。日本は、原発運転が停止したため、電力料金値上げが実施され、さらに、円安の影響で、エネルギー・食品の輸入価格が上昇した。

 最近の原油価格下落によって、ユーロ圏のインフレ率は低下する恐れはある。しかし、それは、日本も同じだ。ユーロ圏では、今後の景気回復を背景に、15年にはインフレ率は1・1%まで回復する見通しだ。

15年の成長率は日本を上回る

 ユーロ圏の経済成長率は、12年の▲0・4%から14年には0・8%、2015年には1・4%と順調に回復する見込みだ。日本では、欧州経済やユーロを悲観する人が多いが、逆に、欧州では、日本経済減速や円の下落を懸念する見方が多い。ちなみに、日本の経済成長率は、13年の1・5%から、14年0・9%、15年0・6%と低下する見通しだ。やはり、2年連続の消費税増税の影響は大きい。来年には、日本よりもユーロ圏の成長率の方が高くなるだろう。

 とはいえ、欧州のリスク要因が多いことは事実だ。短期的には、ロシア・ウクライナ情勢が注目される。ロシアは、自国の安全保障上、隣国ウクライナの欧州共同体(EU)加盟は、簡単には認められない。ドイツは、ロシアとの関係が深いため、厳しい経済制裁に踏み切ることは難しい。よって、事態が短期間に解決するとは考えにくい。

 長期的には、英国のEU離脱リスクがある。これは、スコットランド独立の住民投票よりもはるかに重要性が高い。キャメロン首相は、総選挙勝利という条件付きながら、17年末までに英国のEU離脱をめぐって国民投票を実施すると公約している。英国が離脱すれば、EUやユーロの不安定化につながるだろう。

 以上を総合すると、欧州経済は今後も、その回復基調に大きな変化はあるまい。ただし、成長率やインフレ率の水準が平常時には達しておらず、かつ多くのリスク要因があるため、安易な予断は許さない状況だ。

 

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