政治・経済

 星野佳路・星野リゾート社長によると、インバウンドの動向が明確になっているという。海外で知名度の高い観光地はインバウンドが伸びているが、知名度のない観光地は変化がない状況だ。

観光産業ー観光インバウンドの格差

 北海道は知名度が高く、星野リゾートの施設でも「リゾナーレ トマム」は15%が外国人客だという。特に冬の集客が伸びており、平日は30%が外国人客となっている。また「星のや京都」も30%以上が外国人客。逆に日本人が思うほど軽井沢の知名度は高くなく、星野リゾート創業の地にある「星のや軽井沢」はそれほど伸びていないという。

 「結果的に有名な観光地だけに観光客が殺到し、地域ごとの格差が広がるという感覚を持っている」と星野社長は語る。

 その格差を解消するためには、東京オリンピックなどの機会に日本の多様性を訴えることが重要となる。各地域が違った文化、違ったサービスを提供する面白い場所であることをプロモーションしていく。それが中長期的に外国人観光客にリピートしてもらえることになる。星野リゾートでも有名観光地だけでなく違った地域の多様性を出すことに注力しているという。

観光産業ー問題は需要ではなく利益率

星野佳路・星野リゾート社長

星野佳路・星野リゾート社長

 星野リゾートでは創業100周年事業として、「100 TRIP STORIES」を企画している。全世界から20代の若者を100人募り、日本国内を旅行してもらうというもの。旅行者には旅行後にレポート提出を求める代わりに国内の3泊4日の宿泊と移動について星野リゾートがサポートする。この企画では、星野リゾートの拠点6カ所から滞在地を選択することになっている。滞在地は知名度の高い観光地だけでなく、なるべく分散するように配慮しており、沖縄や青森が含まれる。

 また、星野社長は観光産業の構造的問題として、収益性の低さを指摘する。訪日外国人数が2千万人になっても、国内の旅行需要の10%で、旅行需要の大半は国内需要で賄われている。国内の旅行消費は23兆円あり、リーマンショックでも東日本大震災の時も安定していた。旅行産業の問題は需要ではなく利益率だという。これを改善しなければ、投資や給料に資金が回らず、良い人材も採れず、設備も改善されない。最終的にはインバウンドにも勝てない。本来は巨大な国内需要を使って、いかに旅行産業の生産性を上げるかが重要だという。(星野リゾート定例プレス発表会より)

(文=本誌/村田晋一郎)

 
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