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 営利企業である電力会社は、自社の収益向上を前提に個々の原発の再稼働を決めるが、エネルギー政策においては、すべての国民を利する経済性があるか否かで、原発の再稼働を判断しなければならない。よって両者の判断に差異や矛盾が生じることは十分にあり得る。

再稼働の遅延で発電単価がさらに上昇

 原発個々の発電単価については電力会社が計算結果を公表しない限り、正確なところは分からない。だが、公開データからの推計は可能であり、実際、最近2つの興味深い推計結果が公表されている。

 1つは、慶応義塾大学経済学部の金子勝教授によるもので、コスト等検証委員会が作成した発電コスト計算シートを用いて各原発の発電単価を割り出している。詳しくは、『原発は火力より高い』(岩波ブックレット、2013年)を参照されたい。

 もう1つは、前出の大島教授によるもの。こちらは、既存原発の再稼働時期が14年、15年、および16年になった場合の発電単価をそれぞれ試算している(詳しくは、「会計的手法を用いた再稼働後の原発の発電単価の試算」/『経済学論叢』第65巻第3号、283〜305ページを参照)。

川内2号機再稼働後の発電単価 発電単価の計算は、想定や採用パラメータによって変化するが、川内原発(川内第二原発)に関する両氏の推計結果は、本稿の表に示すとおりである。原発では、電力会社ではなく社会が負担している費用(社会的費用)が大きく、社会的費用を含めた発電単価で見る限り、川内原発の再稼働は、原発を新規に建設する場合に比べても経済的とは言えないようだ。しかも、再稼働が遅れれば遅れるほど、発電単価は上昇していく。だからこそ、電力会社は原発の再稼働を急いでいるのである。

 

※原発の発電コストに関する、大島堅一教授の主な研究業績としては、第12回大佛次郎論壇賞を受賞した『原発のコスト』(岩波新書、2011年)などが挙げられる。

注1:カッコ内は社会的費用

注2:社会的費用については、コスト等検証委員会と金子勝、大島堅一両氏の推計とは少し異なる

 

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